木造住宅の効用

木造住宅の効用

生物由来の材料

 

 ちょっと想像してみてください。例えば鉄板で包まれた
家で過ごしていて、落ち着いた暮らしができるでしょうか。
あるいは、プラスチックで囲まれたインテリアの中にいて
も、居心地が良いという印象を持つ人は圧倒的に少ないと
思います。

 モダンな住宅の中には、コンクリート打放しの家もあり
ますが、自分から好んで住みたいと願っている人は、決し
て多くないでしょう。

 考えてみれば、ビニールクロスの家に住むのも、似た
ような状況です。なんとなく慣らされてしまっているとこ
ろが残念です。

 これに対して、木材を生かした家の印象は、とても心地
良い家のイメージを受けます。そして健康的な印象も強く
「自然」という言葉が馴染みます。そして、その直感は間
違えていません。

 建築に使われている木材も、私たち人間も、同じ地球で
生を受けて、育ってきた生き物です。生物由来の材料とい
うだけで、親しみを感じ、さらには有益であると感じてい
ます。


こうした生物由来の材料である木材には木目がありますが
まるで個性のように、一つとして同じものはありません。
それでいて、木目を見て、スギやヒノキ、マツなどの樹種
がわかるほど、定められた範囲の中にあります。こうした
バラツキには、1/f ゆらぎがあり、人が感じる心地よさ
に通じているといわれています。

 はたして木の家には、この他にも、どのような効用やメ
リットがあるのでしょうか。


 



目に優しい色



 最初に木材の見た目の効用を考えてみましょう。例え
ば、木材は目に優しい光を発している材料です。

 さまざまな物には、それぞれの材質に応じた光を発し
ています。木材の種類によって色の違いがありますが、
木材の色は反射する波長を目で見て、私たちは認識して
います。

 この光の反射率は、物によって違います。例えばアル
ミニウムなどの金属は比較的反射率が高く、コンクリー
トでも40%ほどです。

 ところで、人間の目で見ることができる光の波長は限
られています。その光は波長が長い赤から、波長が短い
紫までの、虹の7色として知られ、人の目には見えない
7色の外側の光が、赤外線であり紫外線です。

 アルミニウムやコンクリートとは違い、木材の光の反
射率は、波長によって大きく違いがあります。波長の長
い赤外線寄りの光は、反射率が90%近くと高く、波長の
短い紫外線寄りの光は10%以下しか反射しません。つま
り紫外線寄りの光は木材が吸収しているということです。

 太陽の光に当たって日焼けをするのも紫外線のせいで
あり、皮膚ガンの原因になるともいわれています。木は
こうした有害な光を吸収し、熱を伝える赤外線を多く反
射しています。

 木を見ると温かみを感じるというのは、イメージだけ
のことではなく、こうした現実の光の波長の効用なのか
もしれません。

 パソコンなどの画面と見ることが多くなった現代では
波長の短いブルーライトを除去するメガネが広まってい
ます。まさに、人の目に優しい空間作りが木材によって
できるのです。

 また青い光はメラトニンの分泌を抑制をするといわれ
ます。メラトニンは睡眠を司る重要なホルモンです。青
い光を吸収する木材の効用は、メラトニンの分泌を促し
心地よく眠ることができる空間づくりができるのです。




木の空間の効用


 木材は、目で見て優しいというだけの効用にとどまりません。木材
に携わるさまざまなところで、その効用が調査されています。

 例えば、小学校の校舎も、近年では木質の内装にする話が増えてき
ました。木造校舎から高度成長時代に鉄筋コンクリート造に建て替え
られ、すっかり近代化した校舎が再び、木をふんだんに使った内装に
戻ろうとしています。

 こうした小学校の校舎の違いで、子ども達になんらかの影響が出て
いないかということを、愛知教育大学で研究報告されています。そし
てその結果は、木造校舎の子ども達の方が情緒が安定しているとまと
められています。

 その中でも特に、女子児童に顕著に現れています。鉄筋コンクリー
ト造の校舎にいる女子児童は、不安傾向が強く神経質になり、抑うつ
性が高くなります。そして劣等感も強くなり、情緒不安定の傾向が高
くなります。


 もちろん、鉄筋コンクリート造を否定しなければならないほどの有
意差となれば大変なことになりますが、木造校舎の価値を見直す機運
を高めていることは間違いありません。

 また、秋田県立大学木材高度加工研究所では、木材使用量の違う
部屋での、作業能率の違いを図る検証が行われています。床だけに
木材が貼られた部屋で、単純な計算作業を行い、回答数の差で能率
を測ります。ここでも、木材が多い部屋の方が高くなっています。

 同様の調査は、日本木材学会大会でも研究発表が行われました。
ここでは、3種の部屋が用意されています。木材部が1.2%の白色
の部屋と、床と腰壁にスギ材を張り木材部が45.5%の木質の部屋。
それに加え3つ目は、スギ材に変えて木材柄をプリントした合成
材料を使った部屋です。

 視覚による影響度を測るために、視覚以外の状況差が生まれな
いよう、室内環境を整えマスクをした上で、ひと桁の単純な足し
算を行いました。被験者は3人ですが、いずれも木質の部屋での
効率が一番高くなりました。

 興味が湧くのは、プリント材の部屋でも効率が上がっている
ことです。かといって、本物の木材にはかないません。ちょっと
見ただけでは、わからないように思えても、どこか私たちの感性
は本物と偽物の口舌をして影響を受けているのかもしれません。






木材使用の適量



 白い壁に比べると、木の質感はとても目を引きます。特に節など
があればなおさらです。そして木質の室内環境といっても、いろい
ろと考えられます。木材学会誌への掲載(2004)で、木材の内装と
しての使い方に関する実証実験もあります。

 壁や天井などの面として木材を利用している場合と、梁や柱など
線に見えるように木材を利用している場合の差です。いずれの場合
も、木材を内装として使うと、脳の活動が活性化しています。

 また、木質材の目に見える面積がほぼ同じ場合でも、面で見える
場合と、梁や柱などの軸が見える場合では、後者の方が目線の動き
がより活発
になります。木材のアクセントとしての役割が明確にな
ります。

 さらに前者の面で見える場合には脈拍数が減少し、後者の軸的な
内装では脈拍数は増加しました。木材のインテリアが身体に影響を
及ぼしているのです。

 本来、アメリカでは2×4の壁で空間を作るので、こうした軸組み
による木材の使用はないのですが、内装材としてアクセントにする
ことが流行っています。しかも、古材に見えるように加工して、サ
スティナブルデザインの家にすると、より高い値段で売れるように
なります。

 また、木にはクッション材や断熱材としての効用もあります。

 硬いものがぶつかった時には、木材の表面では細胞が潰れること
によって、衝撃を吸収しています。コンクリートの床や壁に比べれ
ば、安全であるといえます。また無塗装の木材は、滑るわけでもな
く、滑りにくくもなく、木材の床は歩行の安全性や快適性を確保で
きます。

 木材の熱伝導率は低く、特に日本の針葉樹は、鉄はアルミニウム
などの金属に比べると断熱材と匹敵するほどの効用があります。現
実に、木材のセルロースを使った断熱材もあるほどです。



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木造で元気になる



 木材で確認されているのは、目で見た効用だけではありません。
同じように学校校舎の環境の違いで、冬季のインフルエンザの発症
に関する調査もあります。

 木造校舎と、鉄筋コンクリート造でも内装に木質材を使った校舎
とあまり木質材が使われていない校舎での、インフルエンザによる
学級閉鎖の割合が、(戝)日本住宅・木材技術センターの文献で公
表されています。

 ここでは、木材の持つ調湿性能などが、乾燥時に繁殖しやすいイ
ンフルエンザ菌の活動を抑制
したためと考えられています。

 木造と鉄筋コンクリート造では、明らかな違いが見て取れます。
が、たとえ鉄筋コンクリートでも、内装を木材にするだけで大きな
改善は図れます。やはり木材は、人に優しい材料なのです。

 かといって、なかなか木造校舎か鉄筋コンクリート造の校舎かを
選んで、子どもを通わせるわけにはいきません。でも、自分の家で
あれば、自由に作ることができます。

 インフルエンザの他に、喘息やアレルギーの原因となりうるダニ
の繁殖についても調査があります。部屋の床をじゅうたんやカーペ
ットから木質に変えることで、ダニの数が大幅に減っています。調
湿だけの効用ではなく、木材に含まれる成分が効用を発揮している
とも考えられます。






木材の香りの効用



 木材には特有の匂いがあります。それぞれの樹種によって、匂い
にも違いがあります。その匂いのもとを分析すると、最終的には化
学物質となりますが、これらは全て天然のものです。たとえば、
ヒノキチオールという名前が有名ですが、酢酸やエタノールのよう
な成分が含まれます。

 こうした匂いの成分をまとめて、フィトンチッドと呼ばれます。
特に殺菌作用を示す言葉であり、森林浴には欠かせない森の匂い
成分です。

 そもそも、各種の雑菌は、生物としての樹木にとって、生存を
脅かす敵です。こうした殺菌作用の成分を放つことで、自らの身
を守らなければなりません。

 多くの人が、木の匂いの優しさを感じていると思います。だか
らこそ、床に木を貼り、内装材にも使おうとします。

 しかし中には、規制対象となるホルムアルデヒドやアセトアル
デヒドもあります。ホルムアルデヒドは製材では微量であり、
F☆☆☆☆であれば建築基準法では規制対象外となります。また
アセトアルデヒドは食品にも多く含まれていて、食品添加物とし
ての使用も認められています。

 それでも、人によっては影響が出る場合もあります。過敏は人
は、接着剤等の化学物質への注意だけではなく、木材の天然成分
も含め、全ての材料を疑って確認する必要があります。





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