才能を育む家

才能を育む家

生家と実家

 

 生まれ育ってきた家を覚えていますか。そう問われれば
いくつかの情景を思い出すのではないでしょうか。窓から
の見えた風景や、庭に生えていた木の枝ぶり、天井や手す
りなとについていたシミや傷など、細かいことも意外と
記憶にあります。ちょっとした情景が思い浮かぶと、それ
に合わせて、色々な思い出がよみがえります。

 今でこそ、病院や診療所で生まれる人が99%の圧倒的
多数となっていますが、今の60歳の人の半数、そして70歳
の95%の人は自宅で生まれました。今では生家という言葉
は育った場所として使われますが、本来は生まれた家です。
その家が現存していれば、自分が生まれた場所として深い
感慨があっても不思議ではありません。

 また昔の偉人たちの生家も、いろいろなところに残されて
います。生まれた時には偉大な業績を残すことなど微塵にも
思っていなかったでしょうが、その生家で育まれた感性に
少なからずの影響を与えられていたことでしょう。

 生まれた場所ではなくても、育った家は実家になります。
親が住んでいる家はもちろん、たとえ他人の手に渡っていて
も、思い出が残る育った家は自分の家と感じているのではな
いでしょうか。子どもの成長に、家はほんとうに深い関わり
を持っています。


 

家と子どもの関係

 

 そんな家が子ども達に与える影響について、昔、アメ
リカの高校教師による体験会で発表されたことがあります。
それは、子ども達が2つのタイプに分かれるというもので
した。その2つのは天才タイプと秀才タイプです。

 秀才タイプは何でも平均的にこなして偏りがない学生
です。一方、天才タイプは、得意な科目が1つや2つあり、
枠にはまらない才能を見せます。

 親が子どもに対して願うのは、学校の成績よりも、健康
で元気に楽しく育ってくれるのがいちばんでしょう。それ
でも、この2つのどちらかを選ぶとしたら迷います。

 当時はアメリカでも、話題になったそうです。日本の
教育方針も、ゆとり教育で秀才タイプを目指しましたが、
今や個性をp伸ばす天才タイプへと変わりつつあります。

 このアメリカの2つのタイプの子ども達には追加調査が
あって、天才タイプは社会人になっていろいろと失敗する
こともありますが、自分で生きがいを見つけ楽しく生きて
いると発表しています。

 さらに興味を引くのは、秀才と天才タイプの子ども達が
幼い頃に育ってきた家に関係しているという報告です。家
庭の環境ではなく、家のカタチそのものとの関係です。

 秀才タイプは、機能性を高め部屋も分かれた現代的な家
に育ち、天才タイプは古い昔からの家に育っていたのです。


 好奇心を刺激することは、子どもの成長には欠かせない
ことです。そしてその家での記憶が、子どもの成長に影響
しているというのです。

 そして、天才と呼ばれて何らかの記録を残した偉人にも
必ず生家があります。幼い頃に育った家の記憶を心に刻み
偉業を成し遂げました。子どもや孫たちのために、そんな
家を考えておきたいものです。

注文住宅は高い?


子ども部屋をどうする?

 

 子どものことを考える家といえば、真っ先にテーマに
なるのは子ども部屋です。子どもには、いつかはきっと
独立した部屋を用意する必要もあるでしょう。

 そして、何といっても子どもがいると家の中には物が
増えます。成長に合わせて服も買い足さなければなりま
せんし、玩具や学校関係の物もどんどん増えてゆきます。
その意味でも、どこかで必ず子ども部屋は必要になりま
す。

 しかし、一方で本当に子ども部屋を必要とする時間を
考えると、じつはそれほど長くありません。子どもがま
だ小さい時には、リビングで勉強した方が成績が上がる
という人もいます。思春期を迎えて受験を乗り越えよう
とする中学生の時期から大学を卒業するまでの期間と考
えれば、わずか10年ほどの間です。

 そしてやがて子どもが独立すると、部屋を活用しきれ
てない家庭は、80%を超えます。かといって子ども部屋
が要らないわけでもなく、あらかじめ想定しておかなけ
ればならないことのひとつです。

 これらのことを踏まえて、子ども部屋は大部屋として
仕切って使い、将来にさまざまな活用ができるように
設計します。
それであれば子どもの成長に合わせて変え
てゆくことも可能です。




子どもの才能を伸ばすために

 

 しかし子どものための部屋が子育ての家になるわけで
もありません。子どもに部屋をどのように与れば良いか
ではなく、この家でどのように子どもが育つか見守るこ
とが肝要です。

 それには親がしっかりと子ども達のことを話し合うこ
とです。それも家族がいるリビングで夫婦が話し合うの
ではなく、ゆっくり話せる独立した夫婦の主室があるこ
とも子どものためということになります。主寝室ではな
く、主室にはそれだけの役割があるということです。

 そして教育や躾の他に、家が子どもたちの才能を伸ば
すために役立てれば良いと思います。この家で育った子
ども達もきっと、家の風景を心に刻み込んでくれていま
す。我が子はすでに経験したので、次は孫のためにもと
考える人がいるかもしれません。

目一代、耳二代、舌三代

 

 子ども達の才能の可能性を知る意味で「目一代、耳
二代、舌三代」という言葉があります。おおよそ、次の
ような解釈ができます。

 画家やカメラマンなどの、視覚に関する芸術性等の
才能
は、一世代の中で一念発起して努力すれば得られる
物です。

 さらに音楽などの聴覚に関する才能は、絶対音感など
を含め親の環境づくりがあるほど有利となります。言葉
を覚えるのと同じように音楽を聞かせて、耳を鍛えてお
かなければ本物の耳の才能を咲かせることは難しくなり
ます。

 そして味覚に関する才能は、それが三代にわたって
受け継がれるものだとしています。視覚よりも聴覚より
も、確かに味の感覚の方が一代で経験できることが少な
く、なおかつ家に伝えられた味に影響を受けるのかもし
れません。

 もちろん現代社会では、多くの情報に触れることがで
きますので、より一代でも才能を開花させることができ
るような時代になっていると思われます。でも、こうし
た子どもや孫の感性の扉を開くきっかけはどこにあるか
分かりません。そして、成長してスマホやパソコンに触
れるよりもずっと前から、家に包まれて育っています。
この家に育つ子や孫の才能を育むための家も考えられる
はずです。



天才を生む家

 

 最も単純な才能を育む取り組みは、家の中に様々な絵
を飾ることです。目は一代ですが、絵画作品を身近に見
せることは子どもの感性を育てるのに役立つはずです。

 アメリカ大統領が就任すると、最初にホワイトハウス
に飾る絵を選ぶように、絵は親の好みを具現化し、子ど
もの心に刻まれます。

 また、日本の家であれば、どこかに木目のある木を配
置するのも良いでしょう。家具でも良いのですが、日本
国産の針葉樹といいたいところです。それも節のあるく
らいの木の方が子どもの想像力を鍛えることになり、先
のアメリカの調査のように天才を生み出す環境に近づき
ます。

 桂離宮では、天皇を迎える最も上等な部屋に、節が
あって面皮の残されたスギ材が使われています。決して
柾目だけが高級で良材とは限りません。天然でつくられ
た柄が、子ども達の視覚を刺激してくれます。

 また、木造住宅は耳の環境にも優れています。ピアノ
もバイオリンもそしてギターも音の特性を高めるために
木材が使われています。楽器だけではなく、コンサート
ホールでも内装に木材が使われているのは、音の反響に
良い環境が得られるからに他なりません。

 さらに完全な四角い部屋にするよりも、勾配天井にす
ることも音感に心地よい家になります。床天井や壁の間
で、反射が続くことによるフラッターエコーが抑えられ
るのです。

 そして照明も、全体を明るくする計画よりメリハリを
つけると、暗い部分が子ども達の想像力と創造性を刺激
する空間になります。こんな時にも、勾配天井は独特の
雰囲気を醸し出し、子どもの心に残されることでしょう。




記憶に残されてゆく家

                                             

 そして「舌三代」を考えると、子どもの感性にとって
大事な空間は、ダイニングやキッチンということになり
ます。親や祖父母と一緒に食事をしたことが、大事な
記憶になるのです。

 鼻をつまんで食べると味が解らなくなるように、味覚
の多くは嗅覚に影響を受けています。その嗅覚は多くの
獣が親子や家族を見極めるためにも発達してきた能力で
す。

 嗅覚は最も古い感覚でもあるので、実は脳内の扁桃体
と海馬という記憶と感情を処理する部位に直結していま
す。ですからブルースト効果という匂いが記憶を呼び起
こすという現象も起きます。

 言葉や写真、あるいは家に刻まれた痕跡という記憶と
は別に、匂いと食の記憶が子どもの中に残されているの
です。これほど大事な財産はありません。

 生まれ育ってきた家も全てを覚えていないように、お
そらく食べた食事も本当に少ししか覚えていないでしょ
う。しかし、どれだけ外で美味しい料理に出会ったとし
ても、この家族との食事が間違いなく子どもの味覚をつ
くり上げています。

 それを守るためにはキッチンに立って、子や孫達と一
緒に家の味つくることです。できれば、自分の中に強く
残された父母や祖父母の味を思い出しながらであれば
最適です。

 この記憶が家とつながれば、子ども達にとって、家も
大事な財産になると思います。家は建てて一代で住み、
捨てるものではないはずです。こうした記憶が継がれる
家になれば、子や孫も大事にしてくれる家になるのでは
ないでしょうか。

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