
インカム・ハウス
収入を生み出す家
・家がローン返済をする
・収入を生み出す空間
・フィードインタリフ
アベノミクスによる円安によって、
輸入品の価格は上がり物価は上昇しました。
輸出企業は収益を上げましたが、
肝心の所得の改善はまだのようです。
結果的には、住宅ローンの負担率は上昇してしまいました。
自分や家族の所得だけではなく、
家も収入を得られれば心強いことはありません。
収入を得られる家、インカム・ハウスについて考えてみます。
💰家で得られる収入
多くの人が家を建てるのに住宅ローンを利用していて、
新しい生活が始まると同時に長い返済を負うことになります。
でも、家を借りて暮らしても、
結局は家賃を払わなければなりません。
住居費を0にするには、親の住まいなど、
家賃のないところに住むしかありません。
家賃は暮らしてゆく限り続きますが、
住宅ローンは長くても、完済というゴールがあります。
さらに家賃は貯めることもできませんし、
決して戻ってくることもありません。
それを考えれば、どこかで持ち家を検討することは自然なことです。
確かに住宅ローンを組むことは、大きな決断を必要とします。
自分自身の将来や、これからの収入のことも心配です。
できれば、用意周到に計画して進めたいところです。
以前なら返済に組み込まれていたボーナスも、
今では不確定な収入となり、
ボーナス返済を想定しないのが普通になりました。
収入の質が変わって来たことも、間違いありません。
こんな時、自分や家族の収入だけではなく、
家にも収入があればこれに越したことはありません。
収入付きの住宅、インカム・ハウスです。
💰インカム・ハウス
インカム・ハウスを考える時は、ミニマムな家から始めます。
リビング・ダイニングと主寝室と子ども部屋、
それと水回りがあれば生活をするのには困りません。
それにプラスアルファの空間があれば、
そこを収入を得るための空間として利用します。
プラスアルファの空間は、いわば増築のようなものです。
最も象徴的なのはミニマムな家を小屋裏2階建てとして、
基礎のサイズはそのまま柱を立てて壁を作れば、
小屋裏3階建てになります。
1階に生まれた空間は、自由に使うことができます。
もっとも単純な活用方法は、
この自由空間を賃貸すれば家賃収入が得られます。
ガレージならほとんど手を加える必要もありません。
もしくは店舗として貸すこともできます。
フラワーショップやフォトブックショップなど、
広くなくてもできる店舗もあります。
マイナス金利の現在のローンで計算すれば、
月々1万円の収入は借入額で350万円相当の返済額に相当します。
3万円の収入でも、1000万円分のローン返済がまかなえる計算になります。
インカム・ハウスの効果はとても大きいのです。
自由空間を、それなりの部屋として作れば、
教室などの用途も考えられます。
いろいろと設備を用意すると、それなりに先行的なコストもかかりますが、
借家人の用途によって負担するのが一般的です。
もちろん、賃貸ではなく
家族や自分が副業を営み活用することも考えられます。
収入が得られれば、どちらにしても同じことです。
左記の計算の通り、月々6万円のインカムがあれば
2000万円にも相当するのです。
(ローン計算条件:金利1.07%以下、35年返済の場合)
💰賃貸住宅と二世帯住宅
自由空間をさらに、しっかり居住用の部屋として作り上げれば、
賃貸住宅になります。家主として上階に住んでいれば、
借家人も安心して暮らせます。
しっかりと用途を分けて、インカム・ハウスを建てるためには、
界壁や界床という工事をしておかなければなりません。
壁や床の耐火性や遮音性を高めて、
もし1戸で火災等が発生した場合でも、
延焼しないように配慮しておくのです。
ちょっと煩わしく感じるかも知れませんが、
木造のアパートもたくさん建設されていることを考えれば、
それほど難しいことではありません。
むしろ、居室としての居住性能は向上されると考えても良いことです。
この借家部分を家族が住めば、分離型の二世帯住宅となります。
その意味では、二世帯住宅もインカム・ハウスと考えることができます。
二世帯住宅として住んでいても、家族の状況が変わった時には、
1戸を賃貸住宅として貸し出せば良いのです。
完全に分離した二世帯住宅でも、
相続税で同居とみなされ評価額の減免措置が効くようになりました。
相続税対策として、2世帯住宅を建て、
家族構成に変化が生じた時には、賃貸住宅として活用します。
インカム・ハウスは、時代の変化にも対応できる家になります。
💰屋根からの収入
他にも土地が広ければ、一部を駐車場に賃貸するなど、
資産があれば収入を得る方法はたくさんあります。
こうした土地の有効利用まで考えるのであれば、
ふだんは使っていない屋根を収入源にすることを忘れてはいけません。
電力の自由化に伴い、
日本でも電気の売買電が自由にできるようになりました。
屋根面に太陽光発電を設置して、スマートメーターを取り付ければ、
余剰電力を売ることで収入が得られます。
福島原発事故以来、自然エネルギーの普及ということで
太陽光発電が一気に広まりました。
一部の電力会社では、買わない場合もあるというニュースが流れ、
少し熱も冷めてきたように感じますが、
収入が得られることに違いはありません。
当初の電気の買取価格は、1kWあたり48円から始まり、
42円,38円と下がり、
現在では出力制限対応をしない東京電力・関西電力・中部電力管内では、
31円まで下がりました。
その他の電力会社管内では33円です。
それでも一般的な電力料金は、1kWあたり20円弱ですから、
まだ50%以上電力を買うときの価格より高い価格で買ってくれるのです。
売電価格が下がったことは、
確かに発電事業を検討している人には大きな差ですが、
一般住宅の屋根で収入を得ると考えれば
収入が得られることには変わりません。
💰売電価格と設置価格
そもそも当初からの電力の売電価格の設定は、
太陽光発電装置の設置費用と連動して考えられていました。
設置費用分がおよそ10年で回収できるように、
売電価格が検討されていたのです。
そうしなければ、早く設置した人の負担が大きくなってしまいます。
発売され普及し始めた時は、1kWあたり100万円もしていた太陽光発電が、
今では9kWでも300万円代で設置できます。
日本版フィードインタリフによる売電が始まったころと比べても、
太陽光発電の設置費用は20%ほど下がっています。
上記の9kWの事例でも100万円ほど安くなりました。
一方、売電価格は42円から31円に
下がったことを考えると26%も下がりました。
同じ9kWで100万円分のローンの差額と
売電収入の差額から試算してみると、
月々4500円ほど収入が下がった計算になります。
その他にも深夜電力の契約などの条件も
電力収支に関しては不利になるように変わってきました。
反面、蓄電池による売買電も可能になったのは
有利になったと考えられます。
なによりもこうした電力料金の差額の負担は、
使用する側の私たちの電力料金が上がることで賄われています。
つまり収入が生み出せる屋根を持つ人の分を、
持たない人が負担しているということです。
電気代が上がって生活費の負担が増えたと思ったら、
結果的にはこうして他人の売電収入を支援することで、
フィードインタリフに参加しているのです。
💰電力収入の事例
具体的に、売買電による収入の計算事例を見てみましょう。
インカム・ハウスとして考えるためには、
売るためのエネルギーはできる限り多く生み出し、
使うエネルギーは小さい方が良いことになります。
そこで、ZEH(ゼッチ)と呼ばれる
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスを基準に試算しています。
建物本体の価格は、仮に2000万円とします。
太陽光発電は、4.9kWもしくは9.8kWを搭載します。
5.6kWの蓄電池も有り無しで検討してみます。
それぞれにZEH補助金と蓄電池補助金がありますので、
これらを利用した場合のそれぞれのケースの
建設費総額はどのようになります。
最大270万円の差額です。
これに対してほぼ同額の200万円を頭金にすると、
足りない分が住宅ローンとなります。
それぞれの毎月返済額は、当然のことながら
太陽光発電と蓄電池を設置した家のローン返済の方が多くなります。
しかし家が稼いでくれるのは、この後の計算です。
まずは売電による収入があります。
最大で26,600円の収入を生み出してくれます。
これは建築費にして、およそ750万円分の返済金額に相当します。
とはいっても、ローン返済期間分で考えないといけませんので、
本来はもう少し厳密な計算をしなければなりません。
さらにZEH住宅にしていますので、光熱費も大きく違います。
この差額分も、家が稼いでくれるのと一緒です。
売電収入や光熱費の計算は、
家族構成や電力使用量によっても異なりますので、
あらためてメーカーでシミュレーションしてもらう必要があります。
結局、単純な返済計画だけではなく、光熱費を含めた、
家計収支の中で、総合的に計算をしないと、
収入を稼ぐ家インカム・ハウスの利点はわかりません。
結局、左のような結果になります。
普通にこの結論だけを見ていると、とても信じられない内容に思えます。
高い家を建てた方が、月々の費用負担が安くなるということです。
通常は雨風だけをしのいでいる屋根が、
今は収入を稼ぎ、毎月の返済を応援してくれる家になっています。
ただし、フィードインタリフの制度はいつまでも続くとは限りません。
マイナス金利の優位さも同様です。
現実に数年前までは、太陽光発電も
10kW以上を搭載するケースが多かったのですが、
ZEH住宅として建てる場合は、
10kW以下にすることが条件になっています。
マイナス金利は別として、数年前までは、
さらには、インカム・ハウスに有利だったのです。
安い金利で借りて、その上インカムのある家は、
新築や建て替えで、
検討する価値のある家になるのではないでしょうか。