いい家の条件

いい家の条件

長期優良住宅の活用法

 

・国が定めたいい家
・長期優良住宅のメリット
・適合基準

 

国土交通省は、40歳以下の子育て世代が中古住宅を購入して

省エネや耐震改修などの工事を行った人に、

最大65万円の補助金を支援する事業を開始します。

 

その他にも、住宅ストック循環支援事業やインスペクションなど、

家に対する評価も変わろうとしているようです。

これからの、いい家の条件とはどのようなものでしょうか。

 

✅国が定めた「いい家」

 

呼吸をする家、快適な家、デザイン住宅、

日当たりの良い家、風通しの良い家と、

いい家の条件はいろいろとあります。

自分が住みたいと思う家が、いい家であることはもちろんのことですが、

ほんとうに価値があるいい家とはどんな家なのでしょうか。

 

新築で建てるのであれば、自分の思う通りにいい家を考えることもできます。

しかし、それが誰にとってもいい家であるかはわかりません。

逆に、既存住宅を選ぶのであれば、

それなりにいい家を見極めるポイントもあります。

 

その既存住宅のポイントがわかれば、

新築住宅を考える時の良いポイントになるのかもしれません。

では、いい家とはどんな家でしょうか。

「漆喰で呼吸をする」というだけで、いい家と書いている本もあります。

そうであれば、既存住宅もビニールクロスを剥がして、

漆喰で塗り直せばいい家になります。

 

それも1つの答えですが、客観的に評価できる仕組みとして国が定めたのが、

長期優良住宅です。平成21年6月に施行された

「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」で定められています。

要は「良いものを長く使う」ということで、

いい家としての条件を、性能に定めています。

 

ただ、高い性能といっても、限られたメーカーだけができることではなく、

どこの会社でもできる性能です。

しかし、性能を高めるためには、当然それなりにコストがかかります。

こうした用負担を軽減するために、

さまざまな優遇措置が用意されています。

 

✅長期優良住宅のメリット

 

最初に、税金の特例措置があります。たとえば不動産を取得した時の、

保存や移転の登録免許税が約2/3に低減され、

不動産取得税の控除額も100万円増えて1300万円になります。

また固定資産税では、1/2の軽減措置年数が、3年から5年に延長されます。

 

さらに所得税では、長期優良住宅の住宅ローン控除額は、

平成33年12月まで最大500万円までとなります。

ローンを組まない場合の投資型の減税でも、

性能強化費用相当額の10%、最大65万円が控除されます。

最も金銭的にメリットが大きいのは、住宅ローン金利が、

当初5年もしくは10年間、0.3%引下げられることです。

 

これは新築の話で、リノベーションなら0.6%も優遇されます。

日銀の金利政策で住宅ローン金利も下がっている時代に、

さらに低くなり、まさに住宅ローンはマイナス金利状態といえます。

また、住宅建設資金贈与として、父母や祖父母からの贈与であれば、

2017年では1200万円までが非課税になります。

 

また、住宅ストック循環支援事業の中では、

エコ住宅への建て替えとなれば空き家問題にも貢献するので、

最大50万円の補助金があります。

同じように、長期優良住宅化リフォーム推進事業として、

最大250万円までの補助金も用意されています。

もちろん、上記のローン控除や税制の優遇も、新築と同様に受けられます。

 

いずれにしても、国が定めるいい家の条件は、長期優良住宅であり、

さまざまな優遇措置が実施されています。

これまで通りの新築はもちろん、

既存住宅を購入してリノベーションを行うにしても、

長期優良住宅の検討は欠かせない時代になりました。

 

✅長期優良住宅の適合基準

 

長期優良住宅として認定を受けるための基本要素は、

住宅の品確法に準じて9項目あります。

その中には基本条件としての面積もあり、

たとえば75㎡以上の住戸面積で、

なおかつ主要となる階の床面積が階段部分を除いて40㎡以上とあります。

 

いわば、最低でもこれ以上の面積がなければ、いい家ではないのです。

さらに性能として求められる主要な4つの項目が、次の通りです。

これらの4項目が、国が定める長期優良住宅の最も基本的な条件です。

ここでは各性能の等級が書かれていますが、

性能表示が義務づけられているわけではありません。

 

いい家のポイントを理解するためには、

あえて大胆に整理して考えておきたいと思います。

たとえば維持管理対策は、寿命が短い部材を変えるのに、

長い寿命の部材を壊さないようにするいう、極めて当たり前の話です。

また木造住宅の劣化対策は、

そもそも木材は環境が整えば長く使えるものであり、

防腐防蟻の適切な処理さえしてあれば良いこととなります。

 

となると、残る2つの省エネルギー性能と耐震性能がいい家の

最も大事なポイントになるということです。

たとえば省エネ性能の低い古い家と、省エネ性の高い現代の家では、

間違いなく新しい家の方がいい家です。

一方、耐震等級3の古い家と比べ、

耐震基準ギリギリの新しい家がいい家とは言えません。

 

また、省エネ性と耐震性は、既存住宅を改修して高めることもできます。

それならば新築でも既存住宅でも、省エネ性と耐震性を高めやすい家が、

本当の意味でのいい家と考えられます。

ところが、この省エネ性能と耐震性能の評価もいろいろと進化してきました。

そしてそれぞれに、大事なターニングポイントの年があります。

たとえば、省エネ性能は平成11年と平成25年。

耐震性能は昭和56年と平成12年です。

 

✅省エネのいい家

 

長期優良住宅の省エネルギー性は、4等級が求められます。

より長く住まうことを考えると、住宅の断熱性能を高め、

冬の暖房や夏の冷房エネルギーを減らすことはとても大切なことです。

昭和の時代から、厳しい断熱の目標値が掲げられ、

断熱性は向上してきました。

 

年間の冷暖房エネルギー量の試算を見ても、

昭和55年基準から、平成4年基準、そして平成11年基準と、

消費エネルギー量は半減してきました。

しかし、平成25年の省エネ基準で、大きな変換点を迎えます。

北緯の高い欧米に比べると日本は温暖な地で、

現実に冷暖房に使用しているエネルギー量が少ないのです。

 

日本の一般家庭では、エネルギーが多く使われているのは

動力・照明・給湯です。冷蔵庫・洗濯機・掃除機をはじめとして、

テレビやオーディオでエネルギーが使われています。

今ではトイレも電気がなければ動きません。

その他各種の換気扇や、照明器具も電気を使用しています。

 

しかも冷暖房の効率は、断熱性だけではなく、

エアコンなどの設備機器の効率によってエネルギー消費量が変わります。

最新の機器を使えば、それだけで冷暖房のエネルギー量も

変わるということです。

そこで平成25年に基準では、

家の断熱などの省エネ性能の基本は、

ほぼ平成11年の省エネ基準としています。

 

さらに10%削減した住宅を省エネ等級5の低炭素住宅として新設しました。

その上でさまざまな省エネ機器を活用し、

家全体の消費エネルギー量の削減を目標にしました。

たとえば基準値の20%削減できる改修を行なえば、

高度省エネルギー型としての評価になります。

 

つまり、省エネ性から見た、いい家とは、

建物だけの評価ではないということです。

結局、右表のような、各項目が揃って省エネ性から見た、いい家となります。

当然のことながら、新築でも既存住宅でも同じことが求められます。

 

既存住宅なら洗面・浴室・トイレと、

できればキッチンが分散していない家の方が改修しやすいので、

いい家の条件になります。

また、断熱性を高めるためには、窓の改修を避けて通ることはできません。

窓の種類が多いとそれだけ、改修工事も複雑になります。

 

できる限り窓の種類が多くないことも、いい家の条件のひとつになります。

新築で家を検討するのであれば、

それはデザインを考える上でも重要なポイントになってくれるはずです。

当然、窓の位置などが、上下階で揃っていれば、

断熱材を外張りで追加することも比較的容易にできます。

 

その意味では、やはりシンプルにデザインされている家は、

新築でも既存住宅でも、いい家の条件になります。

 

✅耐震のいい家

 

省エネ性が設備のポイントが高いことを考えると、

いい家の条件としては、耐震性の方がより大切なポイントになりそうです。

しかも、熊本地震の被災事例の中には新築も数多くありました。

明確なのは、耐震等級1と、等級3の被災状況が明確に分かれたことです。

 

等級3は、等級1の1.5倍の強度になっています。

確かに、国の強度の基準である命を守ることに関しては、

どちらも達成できましたが、耐震等級3の家は被災後すぐに、

家に戻れました。

建物の倒壊は免れても、

継続して居住ができず避難生活が続くのは苦痛でしかありません。

 

熊本地震以降、新築では耐震等級3を検討する人が増えつつあります。

しかし、既存住宅では、耐震性が考えられているのは

昭和56年以降の家とされています。

さらに平成12年にも細かい強度の規定が定まり、耐震等級もできました。

やはり、頑丈な家がいい家であることは間違いありません。

 

そうであれば既存住宅も、耐震化しやすいかどうかが判断できれば、

いい家の見極め方になります。耐震性を高めるには、

基本的には、補強のための壁をつくるしか手立てはありません。

壁を補強すれば、基礎まで補強しなければなりません。

それを考えると、外観から補強できると、

基礎も含めて工事がしやすくなります。

 

つまり、外観で補強ができそうな家が

いい家だということになります。

たとえば、正面から見て3~4枚分の壁がある家は補強しやすい家です。

また、上下階の窓の位置が揃っていることも、

断熱材の時と同じようにいい家のポイントになります。

 

木造の既存住宅からいい家を選び出し、

長期優良リノベーションをする人も、

これから増えることでしょう。

木造住宅のことなら、新築も既存住宅も、耐震化も省エネ工事も、

地域に根差した建設会社に相談するのがいちばんです。

少しだけ、家の見方を変えて、周囲の家を眺めてみてください。

 

追記

 

・中古住宅を取得しても、ローンを含めて各種の条件はほぼ同じです。

新築の場合は補助金があり、さらに耐震の等級が3になれば

0.6%の金利優遇があります(ローン金利が安くなる)

しかも建物評価が実際より低い分だけ土地評価が高くなります。

 

・単純に貸家の家賃と比較するだけでなく

長期優良住宅を検討することでの

トータルメリットも考えなければなりません。

 

・長期優良住宅の基本は、耐震性能と省エネ性能です。

 

・耐震性能が高いだけでなく余震にも強い家を求める方が、

例の熊本震災以降には急増しています。

どんなに、いい家でも倒壊すればおしまいですものね。

 

・省エネ性能のポイントは断熱です。

特に断熱のいい家は健康と直結しているだけに

国もこれまで以上にチカラを注いでいます。

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