アメリカの住宅に学ぶこと

アメリカの住宅に学ぶこと

家を建てて幸せになる国の家

 

・住宅への政策
・サスティナブルデザイン
・リモデリングを楽しむ

 

アメリカにトランプ大統領が生まれて以来

世界の秩序は大きく変わろうとしています。

米中の貿易戦争が発端となり世界の景気後退も危ぶまれています。

 

こうした経済状況の中でもほんとうの

アメリカ経済の強さは意外にも同国の住宅事情にあります。

その住宅への考え方の違いを感じて

家を持つことの大切さを見つめなおしておきたいものです。

 

🏳‍🌈住宅への政策

 

「リーマン・ショック級のでき事が起きない限り、

消費増税を実施する」という言葉を、

何度も聞かされてきました。

その例えとなっている、リーマン・ショックは

すでに10年以上も前に未曾有の危機と呼ばれて起きた金融危機です。

 

その発端となったのは、

アメリカのサブプライムローンの破綻でした。

サブプライムローンとは、アメリカの住宅ローンの一種で、

優良客といわれるプライム層の顧客よりも

信用度が低いサブプライム層への住宅資金の貸付です。

 

アメリカの住宅価格は安定的に上昇するという信頼感があり、

多少リスクが高いサブプライムの客層でも

融資事故は起きにくいと計算し、

住宅以外の金融商品とも組み合わせて利率の良い債権として、

世界中に売買されていたものです。

 

しかし、2007年末にアメリカの住宅価格の下落がきっかけとなり、

100年に1度といわれる世界金融危機となりました。

もちろん日本もその渦の中で、大きな影響を受けました。

日本ではすでに、その前にも「バブルの崩壊」があって、

住宅を含め不動産の価値は半分以下に下落しています。

 

それと同様の事態がアメリカで起きたのですから、

世界的な経済危機になってもおかしくありません。

しかし、アメリカのリーマン・ショックによる住宅価格の下落は、

日本のバブル崩壊ほどではなく、しかも数年で回復しています。

どうして、こんなにも差があるものなのでしょうか。

 

💀大恐慌の経験

   

アメリカは20世紀前半の1929年、

世界恐慌で同様の経験をしています。

この時には、新築住宅着工数は恐慌前の10分の1にまで減りました。

住宅着工数は、国の景気判断の重要な指標であることは今も変わりません。

そして有名なニューディール政策で苦境を乗り越えています。

 

その政策の中心には住宅政策がありました。

住宅価値の評価と、正しいローンを普及することで

10年弱で復活することがでました。

個人の信用よりも、住宅そのものの価値を評価し

担保する仕組を整備したのです。

皮肉にも、こうした仕組みが住宅価格の安定した上昇に結びつき、

プライムローンの価値を高め、

結果的には金融商品としてサブプライムローンを生み出すことになります。

 

しかし、住宅価値が残れば、早い立ち直りを可能にします。

ローンを組んで住宅を手に入れても、

ローン残高以上に住宅価値が高まれば、

資産は大きく増えることになります。

この差額の利益をエクイティといい、

新たにローンで現金化することもできます。

 

考えようによっては、住宅が社会保障費にも

なってくれているようなものです。

住宅のオーナーだけでなく、

国にとっても住宅は大事な資産になります。

さらに、住宅への消費は、それ以外の生活に関する消費にも

大きく関わっています。

だからこそ住宅市況を大事な経済指標として分析し、

各国で住宅施策は政策の中心に置いています。

 

🏳‍🌈アメリカの住宅市場

 

さまざまな国の住宅市場を比較してみようとしても、

それぞれに統計上の区分なども違い、単純な比較はできません。

その上、別にアメリカで住宅を求めようとしているわけでもありません。

しかし、家を得て資産価値が増え、

幸せになる社会を実現しているのであれば、

少しでも学んでおいて損はありません。

   

たとえば、日本では空き家率が増えていることが問題視されていますが、

アメリカの住宅ではどうなのでしょうか。

これも日米、一見、空き家率の総数は大きな違いはなさそうに見えます。

しかし内容は、日本では半数以上が賃貸住宅の空き家であるのに対して、

アメリカでは別荘等が多くなっています。

 

単純にアメリカではマルチハビテーションが普及していて、

複数の家を楽しんでいる人が多いのかもしれません。

そして売却用等の空き家も、アメリカでは3倍以上あります。

不動産の流通が活性化しているので、

ある程度の空き家も必要なのです。

 

これらを考えると、もしかしたら日本の住宅市場が成熟するためには、

まだ空き家が足りないという見方もできます。

同じ傾向を、日米の住宅市場を比較しても読み取れます。

同じグラフに表現できないほど、

圧倒的にアメリカでは中古流通が多いことがわかります。

 

注文住宅よりも、建売住宅が多いこともわかります。

また、注文住宅でも16万戸のうちの約5万戸は、

施主の責任で工事しているものです。

さらに住宅の70%は戸建て住宅であるアメリカに対して、

日本では44%ほどです。

 

これらのことから、いかに日本の住宅市場が

集合住宅や賃貸住宅市場への傾向が強いことが分かります。

アメリカのような安定した住宅市場を形成するためには、

質の高い戸建て住宅を建てることは欠かせません。

 

🏳‍🌈住宅の質とは?

 

それでは住宅の質とは、どのようなものなのでしょうか。

たとえば住宅の性能や機能は、質といえるのでしょうか。

アメリカでは、インスペクションという検査制度によって、

これらの確認をしています。性能や機能のもとになる技術は、

品質が確保されていれば、本来は差別化されるべきものではありません。

 

たとえば耐震性などは、基本的には同じ基準で定められ計算されるもので、

どこかの企業の建物だけが特別に強いというものではないはずです。

大切なのは基準通りに建てられているかということです。

また、性能や機能は、メンテナンスを行うことで保持されます。

 

そして、手を加えることが価値を高めると思うからこそ、

アメリカでは手入れが住宅を持つ者の楽しみのひとつになっています。

さらに高く売れるためには、住宅の性能や機能よりも、

住宅のデザインが大切で、

次の買い手が欲しがるような住宅になることを考えています。

 

その上で、既存住宅の流通市場もあり、

売買を繰りかえして自分自身を

ステップアップさせてゆくことも楽しんでいます。

 

🚩サスティナブルデザイン

 

住宅の価値を高めるデザインの要素として、

サスティナブルという言葉が使われます。

「持続可能」というこの言葉の概念も

日本とアメリカで大きく違うようです。

日本では持続可能は、長持ちする”ことと考えられて、

材質を検討し、塗装や皮膜などの保護を強化し、

劣化を押さえ、修繕がしやすいように設計し、

技術的に解決しようとします。

 

技術の評価によって住宅の価値を定めようとするのが日本の傾向です。

また、エネルギーの消費を押さえることも、

サスティナビリティの地球環境要素として技術的に検討します。

しかしアメリカでは、サスティナブルは

デザインの要素として考えられているようです。

 

木材は長い時間が経てば自然と色に深みが増し、

木目が浮き、角に丸みがおびてきます。

それは築後100年以上経った古民家を見てみれば、

誰でも知っていることです。

新しく建てられたモデルにも、

この古民家を思わせるような、梁が架けられています。

 

このような古民家風の家に住むことが、

地球環境が問題になっている時代にふさわしいライフスタイルと考えられ、

購入者が現れるのです。

 

実際の効果よりも、形だけ整えているようで、

日本人の感覚とは違うと考える人も多いでしょう。

しかし、日本人の数寄の心には「詫(わ)びれ」や「寂(さび)れ」があり、

銘木よりも野越の雑木を選ぶことや、

無節よりも節や皮付きの端材を好むことに通じる部分があります。

 

さらには歪んだ器や錆び色の釉薬を好むなど、

日本の昔の茶人の感性に近いかも知れません。

技術にこだわるよりもアメリカ的な

サスティナビリティの方が文化的であるともいえます。

 

🔍偽物と本物の文化の違い

 

サスティナブルデザインの方が、

新しい買い手がつきやすく、

高い値段で売れるという本音も見え隠れしています。

その上、あくまでもデザインとして考えられているので、

写真の中で古材に見える木材も、

樹脂でかたどられたものであり、

触って、叩いて確かめれば偽物であることは簡単にわかります。

 

アメリカでは偽物の梁は、

ホームセンターで売られているものを自分で買ってきて

日曜大工的に取り付けることもできます。

本物の古材では、そう簡単には作れるものではありません。

これを知ると、技術と本物にこだわることの多い日本人は、

やはり幻滅を感じるかもしれません。

 

しかし冷静に考えれば、

似たようなものは日本の中にもたくさんあります。

指物師が手がける建具・障子よりも、

アルミサッシと木目の印刷されたアルミ障子の方が、

性能も良いとして選ばれています。

 

🏳‍🌈リモデリングを楽しむ

 

住まいのリモデリングというのは、

間取りや設備のリフォームとは違い、

ライフスタイルを変えることです。

そしてライフスタイルは、デザインによって表わされます。

そのため、同じ空間でもライフスタイルによって、

まるで違う家のように変化を見せることができるようになります。

 

アメリカの住宅開発の現場では、その違いも展示されています。

間取りも性能も同じ家ですが、

ライフスタイルの違いでモデリングされているのです。

要は、家は空間を手に入れて、

たとえばサスティナブル・デザインをテーマにして、

自分流にライフスタイルを表現することに価値があります。

 

そして、共感する人がいるほど、次に使いたい人が出てきて、

現実の資産価値も高まるのです。

性能や技術に頼るだけではなく、

あるいは偽物を嫌うのでもなく、

住まいに興味を持ち、

ライフスタイルへの工夫を重ねることは住まい文化が成熟している証しです。

 

アメリカの住宅に学ぶべきことは、

じつはこの住まい文化そのものなのです。

日本の文化は、ファッションもグルメも世界で高い評価を受けています。

そして、住まい文化も決して劣るものではなかったはずです。

もっと住まいの文化とデザインに楽しみを見出して、

暮らしてゆきたいものです。

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