住宅の犯罪対策

住宅の犯罪対策

泥棒から家を守るには住宅の犯罪対策

・泥棒はどこから入るか?
・どんな家を狙うのか?
・防犯対策をどうするか

住まいの安全を考えると、災難は地震などの自然災害や火災ばかりではありません。人の悪意による災害からも、身を守る必要があります。火災に遭遇するよりも、4倍近く泥棒の被害が発生しています。

防犯を考えておくことは住宅性能のひとつとして、2006年より住宅性能に加えられています。防犯の家はどのように考えておけば良いのでしょうか。

🔪泥棒に狙われる恐怖

2014年に侵入窃盗事件として認知された件数は、総数で62,745件。その過半数である59%が住宅で起きています。件数としてはおよそ36,700件です。1日に100件の割合で、日本のどこかで泥棒が働いているということになります。

じつはこの数は、火災よりもずっと多いのです。建物火災の総数は37,981件。その内、住宅火災は11,408件です。火事は10分に1軒の割合で、起きている計算になります。

その他にも地震や水害などの災害もありますが、東日本や阪神淡路のように大住宅震災といわれる災害でなければ、さらに被害の頻度は少なくなります。激甚災害では家族や家を失うなど大きな損失を受けます。

それは火災も一緒です。しかし侵入窃盗事件も財産を盗まれるだけではなく、運悪く出くわせば、いきなり強盗へ変わり命を失うこともあります。たとえ会うことはなくても、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を感じます。

自分の知らないうちに、犯罪者が家の中に入り込んだことを考えると、また、同じことが起きるのではないかと強い恐怖を感じるのです。

こうした心の傷は、激甚災害とも変わりないものです。国土交通省がまとめた「住まいにおける重要点」のデータを見ても、このような傾向は明らかになっています。耐震や耐火の性能を求めるように、防犯に対する住まいの対策はとても大切なことです。

🔪マンションも狙われる

戸建住宅ストック2670万戸からあらためて計算すると、戸建て住宅約750戸に1件の割合で泥棒が入っていることになります。でも戸建住宅だけが狙われているわけではありません。

住宅の3分の1の被害は、共同住宅でも発生しています。持ち家マンションのストック数である554万戸で推計算すると、330戸に1件の割合になります。

確率的には、戸建て住宅の2倍ほどの犯罪が発生していることになります。マンションなどの共同住宅だから防犯上は安全だとはいえません。逆に、1戸の住戸に玄関から侵入した後、ペランダ伝いに連続して泥棒に入る事件も発生しています。

犯罪者はひとつの手口がうまくゆけば連続して行い、自分の得意のパターンを持っています。そして自然災害とは違い、犯罪者側の心理によって起こされています。

火災や大きな災害などの被害は、比較的人口の多い都市部で起きる傾向があるのに対して、侵入窃盗は人口の少ない地方でも多く発生しています。防犯の対処法を考える時には、泥棒の心理を探る必要があります。

🔪泥棒はどこから入るか?

侵入窃盗の認知件数は、2002年をピークにして減少しています。さまざまな防犯の対策もあって、3分の1程に減りました。それでも一般住宅への侵入窃盗は、1日に137件あります。

この間に大きく変わった面と、変わらないところもあります。たとえばピッキングやサムターン回しという、玄関ドアの鍵を開ける手口は、極端に減少しました。

さまざまな報道によって、対処法が普及してきたことや、一時期の外国人窃盗団が減少して、手口が変わっていると考えられます。ただ、いつまた再開するかわかりませんので、対処を怠ることはできません。

泥棒の手口は、住宅では71%は留守の瞬間を狙った空き巣です。23%が就寝中の忍込みで、残りの6%が居空きです。住人と出会えば捕まる確率も大きくなります。泥棒が人と会うことを望んでいないことは明確なことです。

では、泥棒はどのようにして家に侵入しているのでしょうか。最も多いのはじつは無締まりで、鍵のかかっていないところから侵入しています。人と会うことを避けているように、できれば余分な作業をすることも望んでいません。そして手をつけるとすれば、最も多いのはガラス破りです。

つまり窓から侵入しているということです。こうした傾向は3階以下のアパートなどの共同住宅でも変わりません。4階以上のマンションとなるとガラス破りは減りますが、それでも40%は窓から侵入しています。

そのかわり合鍵や無施錠が狙われます。共同住宅では同じ種類の鍵が並ぶので、合鍵に目をつける泥棒がいてもおかしくありません。

🔪どんな家を狙うのか?

また、泥棒の多くは行き当たりばったりで侵入しているわけではありません。当然のことながら、犯罪者は捕まるのが怖いので、それなりに下見をして準備をしています。

そのポイントは、次の3つです。

①留守であるか
②侵入しやすいか
③逃げやすいか

留守を確認するのには、郵便や新聞受けを見るイメージがありますが、じつは最も多いのはインターホンで呼び出すことです。およそ半数の手口です。

インターホンが鳴っても、誰もいないことがあったら下見の可能性もあります。単なる子ども達のイタズラと思い込まないことです。カメラ付きのインターホンでも、無言での対応では泥棒の誤解を招きかねません。

留守にしていないこと、しっかり警戒していることを感じさせましょう。また、泥棒の服装でいちばん多いのは、背広とネクタイ姿です。誰もが着ている姿がいちばん目立たず、逃げる時にも人の中に紛れることができるのです。侵入しやすいことは、泥棒にとってはもっとも大きなポイントです。

どんなに下見をしていても、外から見てどの家にどれくらいの財産があるかどうかは、よほど目をつけた家でもない限りわかりません。つまり泥棒は財産が有りそうな家かということよりも、侵入しやすい家かどうかで判断しているということです。

そのように考えると、隣近所の家よりも侵入しにくいと感じさせれば最初の防犯対策になるということです。逆に侵入しやすそうな家は、何度も泥棒に狙われることになります。泥棒が侵入を諦める時間は、5分以内というのが68.5%で、10分以上という泥棒は8.6%しかいません。

このことから侵入作業に5分以上かかるような防犯設備や、5分の間に住人や周囲の人に気づかれそうに感じさせることができれば良いのです。これが防犯対策として主力となる手法です。

また、侵入口としての恐れがある開口部の大きさは、住宅性能表示でも定められていて下の通りです。狙えば小さいところからも侵入します。ガラス破りの侵入が多いことを考えると、小さいからと安心しないでしっかりとした戸締りと侵入対策が必要です。

40cm × 25cmの長方形
40cm x 30cmの楕円
直径 35cmの円

🔪ガラス破りのテクニックと対策

もっとも多いガラス破りには、泥棒にもプロのテクニックがあります。侵入に使われるのは、ドアやガラスを大胆に破って押し入るバールや、ドライバーなどの道具です。

ポケットに秘めることができるドライバーひとつで、泥棒は簡単にガラスを破ります。ドライバーをサッシ枠とガラスの間に差し込みひねるだけで、ガラスにヒビを入れます。この時、プロの泥棒は自分の思い通りの方向にヒビを入れられるといいます。

三角割りというのは、上下から斜めに2本ヒビを入れるだけで、手を入れて鍵を外す部分を作ります。それができない泥棒は四角割りで、2本入れたヒビの間に、もう1回割らないと手が入りません。その分時間がかかり、音を立てる危険性があります。

こうしたガラス破りに対しては、防犯合わせガラスというフィルム付きのガラスがあります。さすがにドライバー1本で簡単に三角割りもできません。ただし、バーナーを使うなど、手口も進化しています。また、ペアガラスにすると、それだけで手間が倍になります。

最近のサッシは鍵部のクレセントも二重構造になっていることが多く、さらに別の場所に補助錠があります。ガラスを1つ破って、いざ侵入しようとしたら、もう一度ガラスを破る作業をし直さなければなりません。時間のリスクがあれば、泥棒も諦めることになります。

🔪泥棒を寄せ付けない工夫

ガラス破りをする場所が、身を隠せる場所であれば時間をかけることもできます。通りから高い塀で窓が見えなくなることは、侵入犯にとって好都合です。生垣が良いといわれるのはこのためです。もちろん泥棒も緊張しながら侵入を試みようとしていることは間違いありません。

さまざまな要素に神経をとがらせています。特に光や音には敏感です。侵入の恐れがありそうな場所には、人の体温を感じて作動する、赤外線センサー付きのライトやフラッシュを設置すると侵入前に逃げ出したくなります。

また、防犯カメラの設置は、近年のさまざまな犯罪の犯人検挙に役立っていることを考えても効果的です。また古来の防犯対策で壁際や窓下には歩くと音がするように、玉砂利を敷いておくことも工夫のひとつです。同様に飼い犬も、吠えることで警戒感を高めてくれます。

逆に最新の機器として、スマホで操作するスマートロックがあります。外出先でも鍵の状況を確認することができ、防犯に役立てるだけでなく、鍵そのものも鞄の奥にしまったままで、失くす心配も減ります。もちろん新しい錠に変えなくても、簡単に取りつけるだけで使えるものも売られています。

玄関先などに花を生け丁寧に管理することも、常に外まで目を届かせている印象になります。いつ人と出会うかを恐れる泥棒にとっては、狙いにくい家ということになります。家をきれいに保つことは、それだけでも防犯対策になるのです。

隣の家より侵入しにくくても、自分の街に泥棒が多いと、心配は絶えません。皆さんで美しい街並みをつくり、コミュニティのつながりがあると、街としての防犯対策ができます。