バルコニーの上手な使い方

バルコニーの上手な使い方

バルコニーの魅力を倍増させる知恵バルコニーの上手な使い方

・バルコニーのある家
・どのように使う?
・部屋としてのバルコニー

日本の住宅の多くが2階建となって、バルコニーをつけた家を多く見かけるようになりました。でも、本当に使いこなしているようには見えない家もあります。はたして戸建住宅にバルコニーは必要なのでしょうか。

あるいは、どのように使いこなせば良いモノなのでしょうか。

🏘バルコニーのある家

令和の時代になって、天皇陛下の御即位にまつわる祝賀御列の儀は、一点の曇りもない快晴の空の下で執行されました。御即位の年だけに、お顔を拝することも多いのですが、例年ではそうもいきません。

年賀の一般参賀において、宮内庁中央玄関上のバルコニーに、お揃いでお出ましになられる時が恒例です。畏れ多くも天皇陛下の御事から「バルコニー」の話を書き出すことになりましたが、すでにバルコニーは一般化された言葉と概念になっています。

しかし、バルコニーは西洋建築に取り入れられたものであり、古くから日本の建築文化としてあったものでもありません。それにもかかわらず、500件ほどの新築データから分析すると、7割もの家でバルコニーを設置しているという事実もあります。

あなたの家には、バルコニーはありますか。あるいは、バルコニーを欲しいと思いますか。そして、バルコニーをどのように使いますか。

🏘バルコニー建築

そもそも、平屋の家ばかりが建っていた時代には、バルコニーは必要がないものでした。言葉の定義としては、地上階につくる似たような空間はテラスと呼ばれます。

それは広縁を始めとして、日本の建築の中でも日常的に造られてきました。たとえば、有名な桂離宮もそうです。近年建てられる住宅では日本も2階建が多数となり、ようやくバルコニーが設置できる家になってきました。

2階から表に出られるという魅力は、確かにあります。また、使い方も色々とありそうです。日本でバルコニーが見られるようになったのは、やはり洋館建築が散見できるようになってからです。維新後の財閥が建てた旧古河邸や岩崎邸に見ることができます。

日本の建物に見慣れた目で見れば、新しく憧れにもなったでしょう。かといって、ヨーロッパの家に皆、バルコニーがあるわけでもありません。それなりに限られた地域で普及したものです。今では、こうした家々の研究をするのにも、実際に出かけて取材をする必要もなくなりました。

机の上でWEBを駆使すれば、世界中の国の家を見比べることもできます。少なくとも、日本のバルコニーよりもずっと古くから造られ、使いこなし方だって住まい文化として活かされてきているはずです。こうしたバルコニーの姿を見比べると、大きな共通点が見えてきます。そうです。バルコニーには、花が飾られているのです。

🏘バルコニーの風景

大昔、ヨーロッパからアメリカに移住した人達は開拓した大地に、遠い自分の故郷の家に似せて家を建てました。仲間が集まれば、アメリカには、それぞれの故郷の家の様式が根づくことになります。そしてやがてアメリカで、家のスタイルが分類されてゆきます。

たとえば、急勾配屋根と煙突があるのはイギリス様式で、木組みの構造が見えるのがドイツ様式、そしてテラスがあるのがフレンチ様式です。そして、ヨーロッパから植民地時代に南方に進出した際に、熱帯・温帯の気候に合わせて、涼しい家づくりを目指したベランダやバルコニー付きの様式が生まれます。

それは植民地時代を表す、コロニアル様式と名づけられています。その基本となるのは、ヨーロッパの中でも温暖な南欧の、フレンチ様式やスパニッシュ様式から生まれることになります。気候が良ければ、それだけ窓を開放し、外の空間を家に取り込む気持ちにもなります。

でも、昔は網戸のような便利な建材もなく、窓を開けておけば虫が飛来するのが難点です。そこで生まれた風習が、蚊遣草と呼ばれる虫が嫌がる草花を窓辺に飾ることでした。その代表的な花がゼラニウムです。日本でも、蚊取り線香は除虫菊から作られていることを考えれば花や草の防虫効果がわかります。

窓の外には花を飾り、バルコニーがあれば鉢植えを並べるのも、こうした風習を受け継いでいるからこそのことです。それがバルコニーのある風景になり、さらには街並みとしての価値を向上させることにもなります。

🏘どのように使う?

歴史はともあれ、日本のように温暖な地域では、似たように外を取り込む発想から縁側を生み出していることを考えれば、バルコニーは日本の気候にも適しているはずです。

現実に今の日本の家では、バルコニーのある家は決して珍しいものではありません。また、家のデザインとしても、良し悪しは別として、日本流の様式として定着しつつあります。

バルコニー68.5%
ルーフバルコニー13.3%
サンルーム5.4%

新築住宅の設置率(サンプル数518軒)

では、これだけ広まりつつあるバルコニーは、現実にどのように使われているのでしょうか。なかなか明確なデータは見つかりません。上記のバルコニーを設置している355軒のデータから見えるのは、家の大きさも予算も1割ほど増えていることです。

そして肝心なバルコニーの使い方は、次の2点です。

洗濯物はバルコニーに干すことが多い66.7%
庭やバルコニーで読書やお茶・食事を楽しむ24.5%

このデータから見ると、残念ながらバルコニーは物干しになっているのが現状といわざるを得ません。北陸地方では、2階にサンルームを設けて、物干し部屋を作るスタイルもあります。

さらに残念ながら、バルコニーを物干しとして使うのには、不便な面も少なくありません。たとえば浴室や洗濯室が1階にあれば、洗濯のたびにバルコニーまで登ってこなくてはなりません。

逆にバルコニーのそばに洗濯機を設置すると、キッチンなどの水周りとの家事動線が途切れてしまいます。その前に、都市型の狭小敷地ではバルコニーに干すのも必然ですが、土地が広い地方では洗濯物は庭に干せます。

さらには共働きが増えると同時に、乾燥機を活用する家庭も増えてきています。確かにこうなると、本当にバルコニーは必要なものなのでしょうか。

ましてや、バルコニーに物を干してしまっては、せっかくの開放的な窓が目隠しされてしまいます。バルコニーは、物干し場という実用性だけで語るのはもったいないようです。

🏘バルコニーを飾る

でも、せっかくの日当たりの良い2階に、大きな窓をつけて開放的な空間を実現しようとするイメージは捨てがたいものです。バルコニーが無ければ、越高の窓しかつけられません。

もちろんFIX窓もできないわけではありませんが、部屋の広がりは限られたものになります。原点に返って、バルコニーの活用方法をしっかり考えておいた方が良さそうです。その原点とは、バルコニーこそ飾り台と考えることです。

さすがに虫が入ってくる心配は少なくなりましたので、蚊遣草を必要とするのではなく、純粋に花を飾って楽しむことに徹してみてはいかがでしょうか。それは外観上の美観を整えるだけではなく、インテリアから見ても窓が額縁になってピクチャーウィンドウとなってくれます。

生活感が向上することは間違いありません。

🏘新しいバルコニー

バルコニーは最初に飾る場所であることを大前提にしてみると、これまでのバルコニーとは違うつくり方が考えられるようになります。

たとえば、バルコニーの奥行きは一般的には3尺(=90cm)ですが、いかにも中途半端です。花を植えるためのプランターを置こうと思えば、足余らずのスペースができてしまいます。バルコニーを飾るためのプランターを想定するのであれば、一般的な奥行きよりも、45cm分だけ大きくするか、あるいは小さくすれば良いのです。

プランターの幅は、通常30cmほどですので充分に配置できます。大きくすれば、花を飾っても、まだ人が行き来するだけのスペースを残せることになります。作業をするためのスペースを確保することもできますし、簡単な椅子を置けば草花を見ながらの憩いの瞬間を得ることもできます。

逆に小さくしてちょうどプランターを置くだけの奥行きにすることも妙案です。バルコニーといえば人が出られるものという常識に縛られる必要もありません。外から見れば、いわばフラワーボックスのように見えるかもしれませんがたった45cmでもフラットな壁に対して影が落ちる外観のアクセントになってくれます。

また、室内からガラス越しに見ても、窓の外にすぐに緑の葉やカラフルな花が見えれば、インテリアの風景も変わります。あるいは、ツタ性の植物を育てれば緑のカーテンになってくれます。鉢の手入れは外に出るのではなく、窓の内側から手を伸ばせばできます。

また、さらに広げるのであれば、今ではルーフバルコニーもできるほどに防水技術が普及しています。下階をガレージにして、あるいは居室にして大きなバルコニーをつくることも可能です。そんなバルコニーには、レイズドベッドを使うと、家庭菜園を実現することもできます。

さらに屋根で覆ってインナーバルコニーにすれば、そこはもう一つの部屋になります。せっかくの家を描くのであれば、もっと自由にバルコニーを活かしてみてはいかがでしょうか。