住宅のエネルギーが見える!

住宅のエネルギーが見える!

エアコン1台?で、快適な家住宅のエネルギーが見える!

・環境に良い家
・省エネル基準の値
・エアコン1台でOK?

住宅の省エネルギー化は、地球温暖化という世界的な危機感もあって、国も住宅性能の基準をつくって積極的に進めています。

しかし目には見えない熱の流れを理解するのは、専門家ではない人には簡単なことではありません。住宅の省エネルギー性を、エアコンの台数に落とし込むまでをイメージしてみましょう。

気候危機

気候危機(Climate Change) EUDれ、毎年のように異常気象が起きています。日本では猛暑や台風の暴風豪雨の被害が発生し、オーストラリアの大規模な森林火災も、異常気象によるものだといわれています。

これまでの地球の気候とは、明らかに違う時代になりつつあります。2019年には、スエーデンの若き環境活動家であるグレタ・トゥーンベリさんの言動も話題になり、気候変動から気候危機(Climate Crisis)といわれるようになってきました。

地球温暖化の現況を、次世代に残すようなことは、なんとしてでも防がなければなりません。その地球温暖化の原因とされているのが、CO2の排出です。人類がエネルギーの糧としている燃焼とは、空気中の酸素と激しい反応を起こす現象です。

木材のような有機物には炭素が含まれ、燃焼という酸化反応で多くのCO2が排出されてしまいます。木材を燃やすのは、樹木がCO2を吸収して生長する量よりも少なければ良いのですが、数万年~数十万年以上の時間をかけて蓄積された石炭や石油を燃焼させては、地球のCO2量は増える一方となります。

しかし現代では、特に石油の使用を止めれば、経済生活はたちまち停止してしまいます。できる限りの省エネルギー化を図り、CO2の排出量を減らす努力をするしかありません。気候危機であればこそ、地球上の誰一人も、この努力を怠るわけにはいきません。そのことを、グレタさんは強く、そして厳しく主張しています。

一方で、この気候危機下の猛暑による熱中症が日常化して、驚くほどの死者数が出ています。毎年でならせば、地震や台風より怖い災害です。今や、夏に冷房のスイッチを入れることは、命を守る行動になっています。もちろん冷房を効かせるのにも、エネルギーを消費し、結果的にCO2を排出することになります。

なかなか、複雑な状況です。毎日暮らしている住宅が、どのように貢献できるのかを検討しておかないわけにはいきません。そこで住宅の省エネルギー化が進められるように、日本でも住宅の性能基準が定められています。

その基準も、車の燃費と似て、平成11年基準、平成25年基準と徐々に厳しいものとなっています。しかし、こうした基準に書かれている言葉も単位もわかりにくいものです。その上、空気や熱は流れ出てゆくのが目には見えないので、なかなか実感も湧きません。

しかし、浪費を繰り返していては、気候危機を乗り越えることはできません。たとえ小さな省エネでも、重ねてゆくことが始まりです。また、日本の住宅省エネルギー基準について、まだまだ欧米に比べれば低いと嘆く人もいます。確かにそれは間違いはありません。

でも、日本が基本的には欧米に比べて温暖な国であることを忘れてはいけません。世界の主要都市は日本の札幌よりも北に位置し、冬の寒さと消費するエネルギー量は比べものにはならないのです。

たとえば、関東を中心とした一般的な日本の家庭では、使われているエネルギーとして最も多いのは照明や家電の消費量で、4割を超えます。続いて給湯に使うエネルギー量が多く、冷暖房に使われているのは残りの3割以下です。

暖房だけで7割を超える場合もある欧州とは、比べようがありません。欧米の省エネ基準は、命に関わるほどに必要とされている基準なのです。

省エネ基準の値

家で消費するエネルギー量は、平成25年基準から消費する総エネルギー量を算出することになっています。住宅の性能だけではなく、消費電力の少ないLED照明や性能値の高い給湯器やエアコンを使うことが評価されます。

実際に使われている消費エネルギーを考えれば、当然のことと思います。そして、その単位はで表記されています。聞き慣れない単位ですが、熱量や仕事量を表しています。

このJ(ジュール)は、電力でよく聞くW(ワット)に時間S(秒)をかけたものです。たとえば人一人の発熱量は、およそ100Wほどあります。人が部屋に1時間居れば、360kJの熱量を発していることになります。

100w×60秒×60分= 360,000J= 360kJ

もしその部屋から、漏れ出すエネルギー量がゼロならば、部屋は徐々に温まることになります。こうした単位であるW(ワット)は、移動する熱量や消費電力、そして発電などにも使われています。

住宅そのものの省エネルギー性を知るのにも、大切な単位です。そして住宅の省エネルギー性は、単純に住宅から出入りするエネルギー量を、極力減らそうという考え方に基づいています。

熱貫流率

住宅では、寒い冬には中の熱が外に逃げ出し、逆に暑い夏には入り込んできます。その多くは、壁や床・屋根、そして窓を貫いて出入りするものです。

ごく普通に考えても、壁や床・屋根より、窓の方が出入りしやすいというのは想像がつくと思います。また、住宅を構成する建材には、それぞれ熱を伝えやすいものもあれば、伝えにくいものもあります。

窓ガラスが2重や3重になっているのは、ガラスだけでは伝わりやすいので、間に空気層を入れることによって、熱が伝わりにくくしています。

さまざまな材料を組み合わせて、どれだけ熱が貫いて出入りしてしまうかを測るのが、熱貫流率(U値】という尺度になり、次の単位で表されます。

w/㎡×K(℃) (xh)

面積1㎡あたり、内外の温度差が1℃ある時、1時間に移動する熱量が何W(ワット)あるかということです。この時の面積とは、壁・屋根・床面、そして窓のそれぞれの面積です。

外部と面している部分ということで、外皮(がいひ)面積と呼ばれています。この外皮面積は建物の形によって違いますし、熱が通りやすい窓面が大きくなると熱も逃げやすくなります。

現在の省エネ基準では、それぞれの面積で加重平均した熱貫流率UA値で評価します。また人が暮らす快適な温度に地域差はありませんが、気候条件により内外の温度差は大きく異なり、より小さな熱貫流率となるよう定められています。

とりあえず、この基準を満たせば、地球環境に貢献して、いたずらにエネルギーを消費しない住宅に暮らしているといえます。もちろん、これ以上の性能に高めることもできます。

損失する熱量

でも、数値だけクリアしても、なかなか生活の中で実感できるものではありません。たとえば、すでにUA値は面積を平均化した値ですから、住宅の外皮面積がわかれば、単純にかけ算をすれば、1時間あたりに失う熱量を計算することができます。

面積の大小、総2階や一部2階など、簡単な形状の違いで外皮が変わると、どれくらい損失する熱量が違うかを比較できます。温度差は、春や秋の窓を開けても心地よい時期では、熱の出入りは考えられません。

平均気温が最も低い1月下旬~2月上旬の、さらに最低気温の平均値という最も不利な条件で、どれだけの熱量を損失するか計算してみましょう。これによって、同じ性能の家であれば、どれだけ地域差があるかを実感できます。

でも、この例で札幌の家を国の基準レベルである0.46w/m²・Kまで高めれば3861Wまで減らすことができます。それぞれの基準通りであれば、じつは東京よりも札幌の方が熱を失わないのです。

その他の損失

住宅から出入りしている熱量は、この熱貫流率の他にもあります。それは、換気によって失う熱量です。住宅では、2時間に1回はすべての空気を入れ換えるよう決められています。

この熱量も、住宅の容積の大きさから計算することができます。中には、熱量を回収・熱交換して換気する装置もあります。

これらも効率をかけて考慮できますが、隙間からの空気の出入りもあり、効率通りとはいきません。この換気による熱損失も計算に加えると、最も寒い日に、住宅一棟から1時間で漏れ出してしまう熱量を計算してあります。

エアコンの性能

こうして、1時間あたりの熱量が分かると、比べてみたくなる数値があります。それは家庭用エアコンの性能です。住宅とは別に家電メーカーが研究開発を進めて、各段に性能が伸びました。たとえば、こうしたエアコンの性能表を見るのです。

大事な指標は通年工ネルギー消費能力で、使用する電力量の何倍の効率で熱量を移動できるかを表しています。それは良いエアコンの見極め方のひとつで、数値が高いほど良いエアコンとなります。そして、能力の単位を見ると、その数値が1時間あたりの供給できる熱量であることがわかります。

その下の小文字では最大と最小の能力も書かれています。さらに低温暖房能力は、外気温が低い時に発揮できる能力で、まさに暖房向きの能力です。じつはエアコンの表示は、何畳用と書かれている表記よりも、この能力値を読むことの方が大事です。

エアコン1台でOK?

この数値を見ると、意外にも一棟の住宅が損失する熱量に近い性能がエアコン1台にあることがわかります。もし、損失する熱量分を供給できたら、たとえ最も寒い日でもエアコン1台で家全体を温めることができるということです。

決して計算上のことではなく、現実として暮らしている家庭もあります。家の熱量は、空気だけではなく、内壁や床天井、そして家の中にあるすべての物品に存在しています。いわば熱量を蓄える容器のようなもので、熱容量といいます。

エアコンを長期間かけて、家中の熱容量を利用して一度蓄えてしまえば、じつは計算通りの空間ができあがるのです。つまり、エアコンは点けたり消したりするよりも、連続運転した方がより効率が高まります。しかもこの時には、床や天井はもちろん、ほとんどの部位で温度差はなくなります。

そのためには、すべての部位に熱量を届けられるように、空気の流れをコントロールしておく必要があります。欧米では、大規模な設備を使って家全体の全館暖房を行うのが一般的ですが、日本の気候であれば、家の性能を少し高めれば、家庭用のエアコン1台で全館冷暖房が可能であるということです。

そして、それは間違いなく快適な暮らしができることを意味しています。地球環境保護と気候機器への対応はもちろんのこと、快適さと健康のために、改めて計算してみてはいかがでしょうか?