水周りの文化

水周りの文化

最も進化し続ける場所

 

コロナウィルスによって、新しい生活様式が生まれようとしています。

さまざまなきっかけにより世の中の多くのものが進化を繰り返しています。

もちろん家も、その例外ではありません。

家の中でも水周りは最も進化してきた場所であり、

世界の国々によって、その文化の違いを見ることもできます。

どの家にもある水周りの文化を知ることで、

これからの新築やリフォームへのヒントを探ってみました。

 

人類の家

 

人が人であるための大きなポイントのひとつに、

家を構えることがあります。

 

もちろん、人間以外にも巣をつくる動物はたくさんいますし、

中には建築物ともいえるほどの居住施設を築き上げる動物もいます。

人間にいちばん近いとされる類人猿の多くは、

巣を持たないで遊動生活を行っていることを考えると、

家があることは人間らしさの原点であるといえます。

 

現実に、家を持たない人間は、本当に特別な事情がない限り

いないといっても過言ではありません。

 

その人類の家の始まりが、シェルターであったことは

容易に想像がつくことです。

外敵となる動物から身を守ることはもちろん、

風雨や日照を含めて暑さや寒さを和らげるための

シェルターが大いに役立っていたはずです。

 

その大きな役割が、身体を横にして休めるためであったとすると、

人類の家は寝室から始まったと考えられます。

未開の部族のドキュメンタリーを視聴していると、

まさにその通りで、

調理などは屋外で行われているシーンを見かけます。

個別の家は、寝室そのものです。

 

でも、日本に残されている竪穴式住居を見ると、

家の中に炉の跡が残されています。

人類は火を上手にコントロールできるようになって、

家の中に持ち込むことができるようになったのでしょう。

その名残ともいえる囲炉裏は、

日本では地域によって、昭和の後半まで残されていました。

 

囲炉裏のある空間を考えると、

人類の家はダイニングであったということもできます。

火が家の中に入ることによって、

暖を取るだけではなく、

煙に燻されることによって殺菌の効果も上がったと思われます。

木材の腐食菌も抑えられて、

家は長持ちするようになります。

 

さらに地域による素材の違いや、

家族の形態などの社会的な要因が加わって、

現代の家まで進化してきます。

でも、寝室やダイニングがあるというだけなら、

わざわざこうして人類の長い歴史を語らなくてはならないほど、

ゆっくりとした進化でしかありません。

逆に、家はそれほど変わっていないとも考えられます。

 

外から内へ

 

そんな昭和の時代まで変わっていなかったとも思える家が、

この半世紀ほどの期間に大きく変化した部位があります。

それが水周りです。

 

火を家の中に取り込むことよりも、

水を家の中に取り込むことの方が、

数段に難しく、

高度な技術を要していたということなのでしょう。

 

火と違って、

水は家の中に引き込む必要もあれば、

汚れて不要になった水を衛生的に排出する必要もあります。

実は家の水周りが、

外から内に取り込まれたのは古いことではないのです。

 

トイレやお風呂、あるいは炊事場が、

家の中ではなく離れにあった時代を

経験している人や知っている人が、

まだまだ周囲に多く居ると思います。

 

当然のことながら、

家の間取りの中でも水周りの歴史は

決して長く積み重ねられてもいません。

それもあってか、

今住んでいる家に対する不満の多くが、

水周りに集中することにもなります。

 

逆に考えれば、

まだまだ工夫の余地があるのが、

水周りでもあるということです。

 

お風呂の国

 

水周りの文化を語る時、

世界の中でも特に日本が特殊な生活文化を持っているのが浴室です。

シャワーを中心とした浴室ではなく、

湯船に浸かる風習があります。

 

しかも、16世紀の戦国時代に

日本を訪れた宣教師の文献にも書かれているほど、

入浴回数が多いのです。

ヨーロッパから地球を半周して辿り着いた国が、

文明の進んだ自国よりも清潔な生活をしていることに、

心から驚いていたのです。

 

お風呂に入ると、一日の汚れを落として清潔が保たれます。

そして湯船に浸かると、大きく息を吐いて

一日の心のストレスを解消し、

温まることで免疫力を向上させて健康になります。

 

さらに温かい血流は脳にも巡り、

お風呂は新しいアイデアや発想を生み出す場所にもなります。

その上、一度上がった体温が下がることで、

より良い睡眠へと導いてくれます。

 

加えてさまざまな湯の効能も活用する入浴習慣は、

日本人の大発明といえます。

本来は日本でも共同浴場であった風習を、

今では一家に一つの浴室が実現されています。

 

この浴室が、近年、工場生産によるユニット化で、

さらに劇的に進化しました。

それによって水仕舞いの性能は大きく向上し、

水漏れの心配もほとんどなくなっています。

 

そのユニットバスでは、

下に潜り込んで点検やメンテナンスを行うこともできます。

それは、ユニットを交換すれば、

いつでも浴室の機能や配置を

変更できるようになったということでもあります。

 

また、2階に浴室を設けることもでき、

設計の幅も広がりました。

欧米のように、寝室の近くに設置することも簡単にできます。

 

さらに、シャワーヘッドの機能によって、

シャワーの種類も豊富にあり、

ジェットバスやマイクロバブル、腰湯など、

入浴ライフも変わります。

もちろん、水垢が溜まりにくく、

水はけの良い床材や、

カビの生えにくい目地の少ない浴室壁もあります。

 

さすがに、お風呂の国ならではの

バリエーションになっています。

 

トイレの先進国

 

お風呂と同じように、日本のトイレに世界が驚いています。

先の16世紀の宣教師も清潔感に驚き、

現代のハリウッドスターなどの海外セレブも、

日本のトイレを体験して、

その快適さを忘れられないといいます。

 

日本の一般家庭では、温水洗浄便座の普及率は80%を超え、

100世帯当たりの設置数は111台。

つまり、世帯数よりも多くの洗浄便座が設置されています。

日本人にとっては、普通の生活の一部となっていますが、

外国人にとっては特殊なトイレです。

 

このトイレも、じつは毎年のように進化しています。

なによりも、洗浄に使う水の量が少なくなっています。

 

古いと10Lほど使っていた水量が、

今では半分以下になっています。

世界中で水不足も深刻化していて、

地域によっては6Lまでの水量の規制もありますが、

日本のトイレが解消します。

溜めていた水を単純に流すのではなく、

水道の圧力も利用して過流を作ることで、

少ない水でも力強く流せるように設計されています。

 

水流だけではなく、特殊なセラミック塗装技術で

汚れがつきにくくしたり、形状を工夫することで、

掃除しやすい形にしています。

その他にもさまざまな機能を持ったトイレが開発されていて、

初めて見る人には、まるでトイレの形をしたロボットのように

感じるかもしれません。

まさに、日本はトイレの先進国になっています。

 

トイレの最新機能

脱臭機能/温風乾燥/ノズル洗浄

暖房便座/衛生便座/ダンパー式

便座&蓋/蓋の自動開閉

飛び跳ね防止泡/トイレ収納

 

これらもすべて、トイレ便座が改善されることによって

達成されてきたものですが、和式トイレはすっかり消えて

様式化されたことに始まります。

 

排水の技術が進むことで衛生的になり、

普通の部屋と同じように

トイレを扱うことができるようになりました。

これによって、トイレも居室や廊下とまったく同じ床材で

仕上げられるようになりました。

 

ハーフバスルーム

 

トイレの機能は、設置する機器に任せるとして、

設計する上で、いくつかのポイントがあります。

たとえばトイレの出入口戸は、

基本的には内開きとならないようにします。

 

トイレ内で急に人が倒れた時に、

内開きにしていると、倒れた人の身体が邪魔になって、

扉を開けることができなくなってしまうのです。

 

かといって、狭い廊下に外開きに扉をつくると、

廊下を歩いている人に当たる可能性もあります。

引き戸にすると解決しますが、

開き戸よりも気密性が低く、

トイレの匂いが漏れて不適とされてきました。

しかし便座の機能が向上することで、

心配なく引き戸にできます。

 

同様に、古い家では換気のために必ずあったトイレの窓も、

必要性が薄くなってきました。

逆に高気密住宅では換気経路をしっかり確保することが大切であり、

トイレの窓を開けると性能を発揮できないこともあります。

 

必要がなくなった窓のかわりに、

少し広めのトイレはどうでしょうか。

 

北米では、日本でいう「○LDK」という間取りの目安のかわりに、

ベッドルーム数と「○&half」というバスルームの数を

目安にしています。

バスルームの数が多いほど、豪華な家となります。

 

この時のハーフ・バスルームとは、

特にリビング近くにつくる、

ゲストも使う、飾りつけたトイレのことです。

トイレの機能を先進にした日本であれば、

こうしたトイレの設計面のトレンドが

生まれても良いのかも知れません。

 

グルーミングルーム

 トイレや浴室に比べると、

洗面の機能は限られています。

シャンプーができる洗面も、

すでに特殊なことではありません。

 

広く普及している洗面は、浴室の隣にあり、

脱衣室と洗濯室を兼ねていることが多いようです。

洗面台の隣に洗濯機があり、

誰かが入浴してる時には洗面が使えません。

また、グルーミングとして洗面を使うことを考えると、

隣に洗濯物などが重なっているのは、

少し興ざめします。

 

たとえば、脱衣や洗濯室とは分けて、

グルーミング用の洗面を設けることで、

ちょっと水周りの設計も変わってきます。

 

空間を分けた脱衣や洗濯室は、

しっかりと収納を確保して、

家族の下着類を保管すると、

入浴時の導線も機能的になります。

 

さらにコロナ禍を経て、

洗面は玄関近くに移動しようとしています。

手洗い・うがいが日常化しようとしている今、

家の奥に洗面があっては菌を持ち込むことになりかねません。

 

すでに国も動き始めている新しい住宅のエコポイント制度でも、

玄関付近に設ける洗面があることが条件のひとつにあげられています。

外から帰ってきた子どもたちも、

すぐに手洗い・うがいをする習慣が身につくことでしょう。

 

家の中の水周りは、進化が早い分、

現在の家がどんどん陳腐化してゆきます。

十数年もすれば、洗面の位置で古い家かどうかを

確認できるようになるのかもしれません。

 

また居室以上に動線や家族間の利用方法など、

ライフスタイルを反映している場所でもあります。

最新の家のマドリを見るときにも、

水周りの収まりに注目しておきたいものです。

 

いつかはリフォームや家を新築する時のために、

水周りの文化を知り、

自分流の使い方を観察しておくことも

お勧めいたします。

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