おうちの話

2階リビング・「休日の家」おうちのはなし111

光と風にあふれたリビング2階リビング・「休日の家」

・快適なところ
・豊かなところ
・安心なところ

限られた敷地の中で、どれだけ快適な住まいの空間を確保できるでしょうか。普通の2階建てのマドリを考えても、数え切れないほどのバリエーションがあるでしょう。その中でも発想を大きく転換して、家族の集まるリビングを2階にした生活をイメージしてみてください。

じつは意外と、快適で、安心で、豊かな住まいになります。さあ、2階リビングの家を想像してみてください。

🏡たてもの探訪

テレビなどで良く取り上げられている新居訪問などの番組を見たことがありますか。毎回、施主のこだわりが見られて、こんな暮らし方もあるのかと勉強になります。どうにも困っていた古い家を、劇的にリフォームして新しい家に生まれ変わるのも、実際に暮らす家族と同じ気持ちで見ることができます。

今住まわれている家が戸建住宅でも、あるいはマンションなどの集合住宅でも、持家の本当の楽しみ方は、工夫を凝らして新しいライフスタイルを発見してゆくことです。番組内容は書籍でも販売されているので、資料として参考にすることができます。ところで、こうした新築事例の中で、意外なほど2階リビングが取り上げられているのにお気づきでしょうか。

現実に建っている住宅データでは1割ほどで、その中には3階建ても含まれるので2階建ての2階リビングはもっと少ないはずです。ところが番組の中で紹介される家では半数もあります。もちろん、普通の家とは違った暮らしの映像やインタビューが得られるので、取材として成り立ちやすいという側面もありそうです。

確かに現実の生活の中からイメージしにくいので、ちょっと抵抗感があるかもしれませんが、よく考えてみれば2階リビングにはメリットがたくさんあります。

🏡2階リビングのイメージ

次に、2階リビングのイメージに関する調査からわかることは、どんなことでしょうか。この調査は、全国の主婦層を中心とした郵送調査で、219件の回答が得られています。その対象者も戸建住宅に住んでいる人と、マンションのような集合住宅に住んでいる人にお聞きしています。

戸建住宅では、ほとんどが1階リビングの暮らしに馴染んでいると思われます。逆に集合住宅では、2階以上の生活空間に慣れているのでしょう。この違いが、明確にイメージの差に表れています。部屋が明るくなるというイメージは、両者に共通して真っ先に上げられている項目ですが、戸建住宅に住んでいる人に、より顕著に表れています。

十分な敷地の広さがあれば、日当たりの良さも確保できますが、敷地が限られているのも現実です。周囲の住宅も2階建てであれば、1階のリビングは暗くても、2階の個室では明るさを感じられます。だからこそ、リビングを2階にすれば、明るくなることを実感しているのだと思います。

さらにアンケートのイメージに共通してあるように、通行している人の目線を気にする必要がなければ、カーテンを開けておくことができます。それだけでも部屋の明るさは大きく変わるでしょう。逆に眺望に関する期待感は、戸建住宅に住んでいる人には現実の眺望がわかっているので薄くなります。

集合住宅に住んでいる人にとっては、土地の条件が決まっていないので期待値が高くなるのでしょうか。そして、家族が集まりやすいイメージが高いのは、持ち家住宅に暮らしている人ほど感じていることです。実際に1階リビングに暮らしている感覚で判断し、眺望よりも高くなっています。2階リビングの魅力を知る上では、とても貴重なアンケートのデータです。

🏡快適なところ

ごく普通に家のマドリを考えると、敷地の中の最も環境が良い場所に、リビングを作ることが多いと思います。日当たりが良い南に面した大きな空間を、リビングとしてプランニングするのです。そしてリビングには、家族が集まり団欒のひとときとなります。

それだけリビングが家族の空間として大切にされているということでもあります。しかし、よほど条件の良い敷地でなければ、実際の生活が始まってみると意外と快適さが満たされないことも多いようです。リビングが南に面して明るくても、通行人が気になれば日常的にはレースのカーテンを閉めて暮らしている人がほとんどです。通行人を気にしなくてもよい、北側や東西道路の敷地であっても、隣家の塀や壁を眺めることになりかねません。

リビングの中にいても、窓際まで席を移さないと、もしかしたら空を眺めることもできません。圧倒的に、このような敷地条件の方が多いはずです。しかし、冷静に家全体を見渡してみると、家の中にもっと快適な場所があることに気づきます。それは2階です。現実に戸建住宅に住まわれている方ならば、2階の部屋が明るいことを実感しているでしょう。

たとえば冬であれば、底冷えのする1階よりも、2階は日当たりが良いので暖かい空間になります。夏であれば、2階は風通しも良く、人の目を気にすることもなく、窓を開ければ風が吹き抜けます。もともと、暖かさは上に集まり、冷たさは下に沈みます。

夏冬を通じて、1階よりも2階の方が温度が高くなる傾向にあります。そして、じつはリビングなどのパブリックの空間よりも、就寝する空間は少し温度が低い方が適しています。人が眠る時には、体温が下がることで睡眠へと導かれます。

眠くなった子どもの手のひらが熱いのは、放熱することで眠りにつこうとしているからです。これを考えれば寝室は温度の低くなる1階にして、覚醒して活動している空間であるリビングを2階にするのは、とても理にかなったことです。

🏡豊かなところ

2階リビングの魅力は、明るさだけではありません。2階だからこそ、空間を豊かにするスペースがあります。たとえば、屋根裏空間をリビング上部の吹き抜け空間として活用できます。

屋根の形がそのまま、勾配のついた天井になります。屋根の小屋組や梁などが、そのまま見えるデザインを採用しても良いでしょう。映画などのシーンでも、このようなロフト空間を見かけることが良くあります。また、2階の床を抜いて吹き抜けをつくるよりも、趣の深い空間になります。

3m~4mくらいの天井高さは、普段暮らしている視野の中に自然と天井が見えてくる高さです。天井が高くて豊かであり、それでいて空間を無駄にしているわけではありません。さらに勾配天井は、温度差による空気の移動が起こりやすいのも利点です。

こうした熱の移動は煙突効果といい、四角い空間よりもコントロールしやすくなります。温熱が集まる場所が明確なので、その場所へ対処をすれば良いのです。その上、大きな空間をつくるのにも、2階の方が適しています。上階に居住部分があるよりも、屋根がかかっているだけの方が構造的に有利なのです。

部屋の大きさも天井の高さも豊かな空間が確保できるのは、2階リビングにはかないません。

🏡安心なところ

空間の広さだけではなく、家としての強度を考えてみても、じつは2階リビングには利点があります。地震で倒壊している一般住宅の事例を見れば、下階が潰れている事例がほとんどです。たとえば単純に柱の配置を考えても、1階を個室にした方が、より多くの柱が立つことになるので、強度が高まることが想像できます。柱だけではなく、間仕切り壁にも地震への耐力を負担させればなおさらです。

ところで、今家の中にあるさまざまな調度品の中で、1番重たいものはなんでしょうか。昔のテレビは相応の重量がありましたが、薄型のテレビになってから、テレビの重量も軽くなりました。大きな電化製品といえば冷蔵庫で、500リットルなら100kgほどの重量になります。

ところが、じつはもっと重たいのは洋服を詰め込んだタンスで、一竿が200kgほどあります。この重さはピアノの重さとほとんど同じで、ピアノの場合は床補強をするほどです。しかもタンスは、並べて置くことがあります。所有している人は多くありませんが、もっと重たいのはウォーターベッドで、700kg~900kgもあります。つまり、タンスやベッドなどリビングよりも寝室の方が積載している荷重が大きいのです。

2階リビングにすれば、個室がある1階が重たくなるので、強度的にも有利になり、リビングも個室も安心できる場所になります。確かに就寝中に発生した地震で、家が倒壊することを考えると心配は残りますが、地震はいつ起きるかわかりません。

なによりも、しっかりと強度を計算して建てれば、心配はいりませんが、2階リビングにはこうした住宅の強度上の安心感もあるのです。

🏡休日の家

多くの家庭では、ウィークデーに家族が揃うのは、朝と夕方以降の時間となります。夫婦が共に働き、子ども達が学校に通えば、昼の家は空です。これが休日ともなると、終日、家には家族が揃っています。こんな休日の一日をイメージしてみても、2階リビングの良さを感じることができます。

1階リビングの休日は、太陽が昇れば、日当たりの悪い1階に降りてきて、夜になって日当たりの良かった2階に上がります。そう考えると、とても非効率に感じます。2階リビングの休日は、朝は日の差し込まない寝室から出て、リビングに上がれば、日差しと出会うことができます。

朝の日差しを身体に受けることは、体内時計のリセットを促し、その日の晩の快眠につながります。健康を維持するためには、快眠は欠かせません。リビングよりも少しだけ温度が低く、なおかつ朝日を浴びることができる家は、快眠の家になります。そして休日を過ごす昼の間は、太陽の動きを感じながら過ごすことができます。庭木も幹を見るのではなく、青々とした樹冠の葉を眺めて、目を癒します。

2階リビングの明るさがどれだけ貴重なものかということがわかると思います。そして2階リビングは「休日の家」でもあるのです。こうした快適さがイメージできるからこそ、先の調査で戸建て住宅に住んでいる人たちは、家族が集まりやすい家になると答えています。

明るく、広く、天井が高く、そして風の抜ける2階リビングには、自然と家族の足が向くようになることでしょう。もし家を計画するチャンスがあれば、2階リビングのスタイルも、検討のひとつに加えてみてください。

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