おうちの話

紫外線・赤外線おうちのはなし113

良い光と悪い光紫外線・赤外線

・家に影響を与える電磁波
・紫外線の益と害
・木材と紫外線・赤外線

人の暮らしの中に、光は欠かせないものです。とくに日当たりといえば、風通しと並んで家の過ごしやすさを決める大事な要素です。でも、私たち人間が見ることができる光は限られています。それ以上に、目に見ることができない、さまざまな光に影響を受けています。家に関わる可視光線以外の光についてまとめてみました。

🌞可視光線以外の光

夏になるとジリジリと音が聞こえてくるような光が照りつけます。道を歩くにしても、できれば日陰を渡り歩いて、直射日光を避けたくなるものです。でも考えてみると、太陽は天の真上にあって、直接見上げなければ見えるわけではありません。

それでも夏は、光はさまざまな物に反射して、いやでも目に飛び込んできます。ところで私たち人間は、目だけで光を見ているわけではありません。実際に強い日差しは、なによりも肌で感じます。ジリジリと感じるような日差しは、まさに肌感覚です。

目で感じている光は、電磁波の一種です。その電磁波の中には、病院のレントゲンで使われるX線や、テレビやラジオの番組や携帯電話に使われる電波も含まれています。電磁波は電界と磁界が交互に作用しあって伝わるので、空気の無い宇宙でも伝わることができます。

こうした電磁波の中でも、波長がおよそ400~800nmの電磁波を、光として人間は目で見ることができます。この光の中に、さらに色を分ける波長があり、その色は虹の中に見ることができます。(※nm:ナノメーター、1百万分の1ミリ)

日本では「赤橙黄緑青藍紫」の7色に分けられます。この光を目でとらえて、山々の緑の美しさや、吸い込まれるような空の青、花々の鮮やかな色を見分けています。またこうした豊かな光が、住まい文化を彩ってくれていることは、間違いのないことです。

しかし、私たちの目で見ることができない光も、住まいの中で大きな影響を与えています。その実例は意外と身近なところにあり、日常的に体験していることです。目で見ることができない光の代表は、赤外線と紫外線です。

先に並べた虹の色の両端にある赤色と紫色の光の、さらに外側にある光として、名づけられています。可視光線の波長よりも短いのが紫外線であり、波長が長くなると赤外線です。もちろん生活の中では、これらの光が見えなくても支障はないのですが、存在していることは間違いありません。

また、動物によっても可視光線の範囲は違い、虫や蝶などは人間よりも、より波長の短い紫外線域の光も見えています。花の色も、こうした虫たちをおびき寄せるため植物が色彩戦略を組んでいるともいわれます。この赤外線と紫外線ですが、さらにその外側の電磁波を人類は広く活用しています。

その用途例を表にしてみました。もちろん人類が科学を駆使して分析し学んできたことです。同じように、太陽の光の中にある赤外線と紫外線に対する対策も進めてきました。じつは住まいの中にも、さまざまな紫外線と赤外線対策があるのです。

🌞紫外線の益と害

電磁波の活用例を見ると、ちょっと気づくことがあります。波長が短い紫外線側の方が、身体に害を与えそうなイメージがありませんか。X線などはもちろん、できる限り長い時間浴びない方が良い電磁波です。

一方、波長が長い赤外線は、たとえば電波が健康に大きな害を及ぼすとすれば、さまざまな電波に溢れている今の社会は、大変なことになってしまいそうです。それどころか普段から気にもしないで身近に使用している活用例もあります。

テレビやエアコンなどのリモコンも赤外線で動いていますし、携帯電話では赤外線通信も普通のことです。日本人の好きなコタツや炊飯器にも、熱を伝えるといわれる遠赤外線が使われているものがたくさんあります。電子レンジとかIHクッキングは、なんとなく印象としては紫外線のように短い波長ではないかと疑ってしまいますが、じつは赤外線よりもさらに長い、電波と同じくらいの波長です。

もちろん紫外線も一方的に悪いばかりではありません。特に可視光線に近い紫外線には、殺菌や消毒の効果が活用されています。それ以上に、健康的なイメージの日焼けサロンでは、紫外線照射によって皮膚のメラニン色素をつくり出して、黒くてツヤの良い肌色にします。

そもそも適度に日光に当たることで紫外線の刺激から体内でビタミンDが作られます。これによってクル病などの病気が予防されていることも、よく知られていることです。ところが同じ日光の中にある紫外線でも、当たりすぎると将来的な皮膚ガンの発生原因になるといわれています。そのため、紫外線対策としてさまざまなUVカット商品が売り出されています。

🌞自然の日焼け止め

UVカットの代表的なものは、日焼け止めです。強い紫外線を浴びると、肌には熱を持ち炎症を起こします。日差しを浴びている時には大きな痛みを伴いませんが、この日焼けは軽い火傷のようなものです。人の肌でも感じられるこの現象は、当然のことながら他のすべてのもので起きています。

特に石油製品などは、この紫外線による劣化に弱いとされていて、紫外線対策は必ずしておかなければなりません。家をつくる建材も同様です。同じように植物も、進化して海から陸に上がってきた時に紫外線対策を必要としました。樹木が生長しながら樹皮を形成しているのも、じつは生存戦略としての紫外線対策だったのです。

でも、人によって伐りだされた木材は、その樹皮部が無くなっていますので、木材部を紫外線にさらされて、人の日焼けと同じ火傷の状況となります。そして次第に木材の色を失い、灰褐色になります。近隣にもある社寺建築を見れば、その様子はわかるでしょう。

どうしても、劣化してしまったかのように見えてしまいます。でも石油製品とは違い、木材では灰褐色化は紫外線対策の戦略のひとつです。たとえば人の手によって、表面を炎で焦がした焼き板は、腐食に強くなります。表面が炭化することで、無機素材となり腐食しにくくなるのです。

紫外線の刺激がゆっくりとした火傷と同じであれば、灰褐色化した木材は時間をかけて焼き板を作っているようなものです。そのように考えると、木材が灰褐色になっているのは、自然の変化の中で耐久性を向上させていると考えることができます。

何百年も経った古い建造物の色に、自然の仕組みがあると思えば、より美しく感じてきます。ただ木材の高分子結合は切断されているので、風雨にさらされると削れて少しずつ痩せてきます。とくに木目で柔らかい春目の部分が減り、硬い冬目の部分が盛り上がるように残り、年輪が際立つようになります。

いわゆる浮造りとなります。また、カビなどが繁殖すると別の劣化も起こりますので、日頃の掃除なども大切です。

🌞温かみのある木材

太陽などの自然の光の中には、紫外線から赤外線までの幅広い波長が含まれています。刺激の強い紫外線に対して、赤外線に対して木材は、まったく逆の反応をしています。ものは光を受けて吸収したり反射したりしますが、じつはそれぞれのものによって違いがあります。

たとえばアルミニウムは反射率は高く、コンクリートの反射率はほとんどの波長で40%ほどです。でも木材の反射率は、波長によって大きく違います。波長が短いと反射率は低く、波長が長くなると反射率は高くなります。つまり、紫外線は木材が90%吸収し、赤外線は逆に90%近く反射しているということです。

たとえば私たちがアルミニウムやコンクリートと比べて木材を見ると、温かみを感じるというのは、もしかしたらこのデータに表されているのかもしれません。ですから、木材は構造材として使うだけではなく、インテリアにも積極的に採用した方が良いのです。

それによって紫外線が吸収されてなくなり、温かみのある赤外線に満ちた室内になります。たとえば、床をフローリングにするとか、壁や天井をピーリング仕上げにすることだけでも、快適な室内環境を作ることができます。ただし、ローコスト住宅などで使う、木目をプリントしたものではなく、本物の木材を使わなければなりません。

🌞熱を伝える光

少し親しみもある赤外線ですが、遠赤外線という言葉を聞けば、これらが熱を伝える光であることが想像できます。家を考える時には、この赤外線もしっかり検討しておく必要があります。ただ簡単に片づけられないのは、寒い家では熱量を求め、暑い家では熱量を遮断したくなることです。

そのためサッシにつけられているガラスでも、日照取得型と日照遮蔽型があります。その他に、カーテンやブラインド、障子を使うことでも遮蔽効果が得られます。もちろん窓の向いて、いる方向によっても、大きく左右されます。太陽からの光の強さは、南・東南・西南ほど強くなります。

ただ南側は太陽が高く昇っているので、たとえば庇があれば、夏には日照を遮り、冬には取り込むという計画が可能です。ところが、東西面は太陽高度が低いので、店では調整できません。しかも夏になるほど、長い時間、日に照らされることになります。省エネルギー性能が高い家ほど、こうした日照計画をしっかりしておかなければなりません。

そのため国が定める省エネ性能でも、夏期日照取得係数が定められています。この算出基準はとても複雑なもので、専門家に任せるのが良いのですが、興味を引く点がひとつあります。それは、日照取得の計算には、開口部の窓だけではなく、外壁や屋根面からも断熱とは別項目で、日照エネルギーが入ってくると想定していることです。

もちろん熱伝導によって入ってくると考えているわけでもありません。その値も式だけを見ると単純で、屋根や壁の断熱性、つまり貫流してしまう熱量の3.4%分が日照によって伝わるとされています。普通に一般人が考えれば、屋根や壁から光は漏れてこないので、不思議に感じます。これもやはり、人の目に見える可視光線ではなく、熱を伝える電磁波が屋根や壁を通り抜けて伝わっていると想像してみてください。

家づくりは、デザインにしても生活にしても、実際に目に見える部分で判断したくなります。でも、目に見えないところでも、大事な技術を活かさなければ、本当に快適な住まいを実現できないということです。

追記

平成25年の省エネ基準ではQ値やC値がなくなり、 UA値とnA値になりました。 外皮平均熱還流率(UA値)は寒冷地に厳しくなり、 平均日射取得率(nA値)は温暖地に厳しくなりました。 日射所得率は、窓以外の壁からも入ることが想定 されています。

熱還流率に連動していますが、3.4%分は断熱では なく日射として熱が入るものと考えます。 光は電磁波と一緒ですが、さまざまな電磁波があります。 可視光線周辺の紫外線や赤外線は、家にも関わりが深い ものです。 特に木材の反射率の特性は遠赤外線に関係します。

木の家には温かみを感じます。 木材は刺激の強い紫外線を吸収し、温かみを感じる 遠赤外線は反射して室内にあふれています。 木材の光に対する特性を活かして、快適な室内空間を つくりたいものです