おうちの話

ガレージ&カーポートおうちのはなし115

こだわりの見えるところガレージ&カーポート

・自動車と家の関係
・カーポートのデザイン
・ビルトインガレージ

家で暮らすためには、さまざまな物が必要です。家具や家電を始めとして、自家用車を必要としている人も多いはずです。おそらく家に収めなければならない物としては、最も大きなものです。ただ単にスペースがあれば良いのではなく、家と一緒にしっかりと考えておきたいものです。

🚘自動車と家の関係

カラーテレビ・クーラー・カーという3つの”C”に憧れていたのは、もうすでに大昔のことです。今ではあって当たり前の時代です。もちろん、この3つのCも大きく変わってきました。カラーテレビはデジタル放送でハイビジョンが普通になり、さらに美術品の鑑賞までできるような4Kテレビが売り出されています。

また、これまでは部屋の隅に収められていたテレビも薄型になり、壁に掛けられるようになりました。テレビの進化は、家の中の暮らし方にも変化を与えています。クーラーも今や欠かせないものです。昔なら風通しの良い家が理想でしたが、省エネルギーの高断熱住宅は、クーラーや暖房機があることが前提の家です。

そのクーラーの性能も、家の性能以上に進化して、できる限り少ないエネルギーで効かせることができます。テレビと同じように、天井付近のどこかにエアコンがあるのが普通のインテリアになっています。車も同様です。よほどの都心部にでも住まない限り、自家用車は必需品となっています。地方では、一家に1台ではなく成人に1台ともいわれるほどです。もちろん車も、性能だけではなくデザインも大きく変わってきました。

しかし、家との関わりで考えれば、それほど大きく変わってきたようには思えません。確かにプラグインハイブリッド車(PHV)が普及すれば、駐車スペースの側には電源が必要となります。それでも配線があれば良い話しです。じつは意外と、家の計画の中でもカーポートやガレージを真剣に考えることは、あまり多くありません。

家の間取りを考えることと同じように、車の居場所と使い方を考えることは、大事なことです。数々の事例を見ても、カーポートやガレージにデザインが行き届いている家には、計画性を感じられます。象徴的なのは、日本よりもモータリゼーションが進んでいるアメリカでは、ガレージにこだわりが感じられます。

たとえば必要最低限の生活空間が確保された上で、プラスコの空間に何が欲しいかと聞けば日本では和室という声が聞かれます。それがアメリカでは、ガレージという声になります。日本人が家に求めるゆとりの空間としての和室は、アメリカ人にとってはガレージなのです。

そのガレージからベンチャー企業が始まり、ガレージを舞台にした映画のシーンもたくさん作られています。それは標準的なアメリカの街並みにある家を眺めてみてもわかります。もしかしたら日本の住まいづくりでも、もっとガレージやカーポートのことを考えてプランニングをすれば、家づくりが新しくなるかもしれません。

🚘カーポートのデザイン

最も一般的なのは、敷地内にカーポートを設置することです。多くは玄関アプローチと兼用で、カーポートが作られています。物を大切にする日本人は、自家用車もまめに掃除して、磨き上げながら使います。カーポートの側には、電源だけではなく洗車のための水栓も必要です。

車磨きを休日の楽しみにしている人も、少なくありません。当然のことながら、車は野ざらしにするよりも屋根の下に保管した方が、汚れもつきにくいものです。カーポートの上に、屋根をかけるのもよくあるケースです。それは家の外観デザインにも大きく影響することでもあり、しっかりとデザインを考えて選ぶ必要もあります。

こうしたカーポートの屋根にも、さまざまな機能があります。たとえば屋根面に自浄機能があるものなどです。特殊なコーティングで光を受けて汚れを分解し、雨によって洗い流してくれます。ちょっと考えると、雨などの水滴を弾くような撥水性のものが良いのではないかと思いたくなりますが、じつは自浄機能はまったく逆の発想です。

撥水性で水を弾いても、水がやがて乾燥する時に、水のミネラル分が表面にこびりついてしまって汚れてしまいます。逆に親水性のものは、水とくっつきやすいので、乾燥して残された塵埃とパネル面との間に水が入り込んで浮かせて、流すことができます。こうした素材を採用すると、メンテナンスも楽になります。

また、近年の異常気象では、これまでにない大雪が降ることがあります。想定外の雪の荷重で、カーポートが壊れる事故も多発しました。カーポートの屋根を選ぶ時には、強度を確認することも忘れてはいけません。その上で、屋根の荷重を支える柱の配置によっては、車の出し入れが難しくなります。

🚘緑化カーポート

カーポートのデザインや印象は、屋根だけではありません。車を停めるスペースは意外と広く、1台分で最低でも2.5m×5.5m程度の広さを必要とします。これだけの面積に単純にコンクリートを打ったのでは、味気ない風景になってしまいます。

カーポート面の床をどのようにデザインするかで、外観の印象は大きく変わります。中には緑化カーポートという発想もあり、芝生を植えた地面の上に、車を停めることができます。地域によっては敷地の緑化率を求められるところもあるので有用な手法です。

ただし植物は生育環境によって育ち方が違うので、芝生も枯れてしまうと見た目は悪くなります。特に毎日使わない車の下は日当たりも悪いので手入れを欠かすことはできません。芝生よりも日陰に強いタマリュウなどを利用する方が良いでしょう。こうした植栽は、同じように狭いアプローチなどでも使えます。

カーポートの端など、植栽を植えるところは真っ平らにしないで、少し地面を盛り上げて植栽を植えると、より情感にあふれたデザインになります。また、2台分のスペースがあれば、カーポートの真中に植栽を植えて、木陰の下に車を停めるというデザインもあります。住宅街の中にあっても、まるで林の中に住んでいるかのような印象です。

🚘ビルトインガレージ

アメリカの街並みにあるガレージは、家と一体化してビルトインされているケースが多く見られます。車が趣味であれば、理想の住まいのひとつです。たとえ屋根付きのカーポートに停めても、汚れ方はビルトインガレージにはかないません。また、建物そのものが立派に見えることも間違いありません。

じつはこうした建物一体のビルトインガレージには、法律的に有利な点もあります。容積率の緩和があり、その敷地に建てられる最大の面積を増やすことができるのです。具体的には、建物面積の5分の1までガレージを作ることが認められています。

たとえば、50坪の敷地で80%の容積率であれば、そこに建てられるのは40坪までの家となります。この建物にさらに10坪のガレージを計画しても良いということです。敷地が狭ければ余計に、有用な緩和策です。活用しない手はありません。

3階建ての事例も多いのですが、現実にビルトインガレージの家に住まわれている人のデータでは、生活へのこだわりが見える項目でポイントが高くなっています。ちなみに、このデータではビルトインガレージの家に住んでいる家族の割合は、8.5%です。その他にも家への満足度も高く、計画性の高さを感じることができます。

家族の居場所を間取りの中で考えるだけではなく、車の居場所まで計画しているからなのかもしれません。再三の事例として書いてきたアメリカのガレージは、時には書斎や趣味の部屋にもなります。しっかりとガレージの使い方やデザインを考えておくことは、じつは家づくりへのこだわりを表しているのです。

もちろん自家用車だけではなく、自転車やバイクなどの置き場所も同様です。駐車場代が別に必要となる、マンションと比べると、こうしたガレージへのこだわりを実現できるのは、戸建て住宅の大きな利点です。アメリカ人が理想の空間としてガレージを求めるように、少しでもこだわりをもって、ガレージをデザインしておきたいものです。

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