おうちの話

ほんとうの家の安全おうちのはなし130

知られていない家庭内事故の怖さほんとうの家の安全

・不慮の事故
・家庭内事故の現状
・住まいの安全を守る企業

日本の死亡者数は年間130万人を超え、毎年30万人もの人口が減る時代になりました。さらに大きな災害があると、その年の死亡者は大きく増えます。一方で家で死にたいと考える人は8割にもなります。

ところが、じつは交通事故で亡くなる人の数よりも家の中で亡くなる人の方がずっと多いのです。どういうことなのでしょうか・・・

🔥不慮の事故

住宅の安全性といわれれば、多くの人は真っ先に地震や台風などに強く、家族の命を守ってくれる家と考えるのではないでしょうか。安全性は、住宅の最も大事な機能のひとつです。

現実に大きな災害があると、犠牲になる人があります。病気で亡くなるのとは違い、突然に訪れるので心の準備もできません。こうした死亡者の数と死因は、厚生労働省による人口動態統計の中で調査されています。人口動態統計では、年間でおよそ130万人が死亡しています。

出生数がおよそ100万人ですから、人口減少に転じた日本では、年間に30万人も減っていることになります。そのほとんどが、ガンを代表とする疾病で亡くなっていることは、誰でもが想像できることだと思います。ガンは、2人に1人が発症する国民病になりました。

この人口動態統計中で、不慮の事故によって亡くなっている人の数を調べると、38,300人もあります。人口動態統計が発表されるたびに、自殺者の数や交通事故による死者の数が取り上げられます。そして、2011年に大きく死亡者の数が増えているのは、東日本大震災によるものです。

そして1995年の山は、6,500人が亡くなった阪神淡路大震災があった年です。このように大きな災害は、記録の中でも残されています。この不慮の事故の死亡者の表中に、自殺による死亡者の数を加えてみました。日本は自殺者が多い国としても話題に上ります。

一時期に比べれば、この数年の間に減少してきましたが、それでも23,000人以上の自殺者がいます。その数は、東日本大震災の犠牲者数・行方不明者の数をゆうに超えます。数百年に一度といわれる大災害の犠牲者以上の命が、毎年、自殺によって失われているのです。

不慮の事故といえば、交通事故を思い浮かべる人も多いと思います。グラフを見ると、交通事故による死亡者数は大きく改善されてきたことがわかります。毎年減少して、昔の4分の1ほどになり、6,000人を割るようになりました。飲酒運転の厳罰化による法規制の効果も大きいと思われますが、自動車の安全性も大きく改善されてきました。

このグラフの中で最も着目して欲しいのは、不慮の事故の中でも家庭内における事故の件数です。じつは2000年を過ぎた頃から、交通事故の死亡者数を超えて日常的な家庭の中で起きている不慮の事故で亡くなっている人の方が多くなりました。不慮の事故といえば、交通事故のように外出先で起きているものと思いがちですが、決してそうではありません。

その数も行方不明者を除く東日本大震災の死亡者に匹敵するほどです。ニュースとして知らされることがほとんどないので、知らない人が多いのですが、家庭内の不慮の事故こそほんとうに考えておかなければないということです。

🔥温度差で17,000人死亡

お風呂場の温度差によるショックで、年間17,000人もの人が死亡しているというショッキングなニュースがありました。地方独立行政法人東京健康長寿医療センター研究所の発表したもので、同研究所と日本全消防本部の協力によって推計されました。

温度差のない省エネ住宅を実現するために、断熱材のメーカーが取り上げて、情報として拡散しました。ただし、ヒートショックの明確なデータが取られていないことは、発表資料にもあらかじめ断られています。お風呂場の事故であれば、家庭内の不慮の事故として数えられるのですが、その総数をはるかに超えています。不慮の事故だけではなく、病死数などを推計したものだからです。

ヒートショックの前に、高血圧などの持病を持っている人も、その数の中に含まれています。その意味では、家庭の温度差が原因とはいえません。また、発表資料の中で高齢者の比率が意外と少ないことや、地域の差や経年のデータなどをしっかり見比べないと、ほんとうに信頼できる数値とは思えません。

断熱材のメーカーには恰好のデータですが、数字だけが独り歩きしては、いたずらな不安を煽ることになりかねません。では、人口動態統計から見える、本当の家庭内事故の現状はどうでしょうか。

🔥家庭内事故の現状

最初に、不慮の事故の内容は、おもに転倒・転落、溺水、火災、窒息、中毒のケースに分類されています。このそれぞれの事故でも、出先で遭遇することもあれば、家庭内で起きている事故もあります。不慮の事故全体の中で、家庭内で起きている事故の割合は36.4%です。

以前に比べると、わずかに家庭内の割合は少なくなっています。(2015年調査)たとえば、転倒・転落という事故は、家庭内では少なく、3分の2は外出先で起きています。逆に、火事などによる被害は、ほぼ9割は自宅で発生し、勤務先や外出先で火災に巻き込まれるケースは少ないということです。

確かに、死者が発生した火災現場のニュースのほとんどが、戸建でも集合住宅でも、個人宅の火災によるものです。

🔥家の中の危険な場所

不慮の事故全体の割合に対して、家庭内で起きている不慮の事故で圧倒的に多いのは、水に溺れることです。家庭内の不慮の事故の35%にあたる、5,160人の方が亡くなられています。

つまり、プールや海・川・池で溺死した人の総数よりも、家庭内で溺ぼれて亡くなっている人の数は、2倍以上あるということになります。溺水の不慮の事故がニュースで流れる時には、家ではなくプールや河川でのケースがほとんどです。

ですから、家の中で起きている漏水事故の現実を知らない人が多いようです。珍しいことでなければニュースにならないということだけが理由ではありません。もうひとつの理由は、事故の原因に、本人もしくは親や介護者など周囲の人の不注意が上げられるからです。

溺水という不慮の事故によって身内を失ったことのショックに加えて、ニュースに流れることで2度のショックを受けることになってしまいます。

しかし、日常的な家の中で溺水という事故が起き、交通事故や阪神淡路大震災に匹敵するほどの人が亡くなっているという事実があることを、知っておくことは大事なことです。じつは、家の中にこそ危険な場所があるということを肝に命じておきたいものです。

🔥家の中の漏水事故

実際の事例では、深さが10cmでも溺死しているケースがあります。何らかのきっかけで、気を失って倒れてしまえば、結果的に溺水が直接的な死因となってしまいます。そのきっかけが、先に触れた温度差による場合もあります。体表面が急激に冷やされると血圧は上昇し、逆に暖められると血圧は下がります。

前者は心筋梗塞や脳卒中の原因となり、後者は失神の原因となりえます。倒れた場所に、蓄えられた水があれば、溺死事故となってしまいます。また、発生場所も多くは浴室ですが、実は洗濯機での溺死もあります。小さな子どもが、洗濯機をのぞき込んで、そのまま頭から逆さまに洗濯槽に落ちてしまうのです。

子どもにとっては、グルグル回る洗濯機は興味の的です。洗濯機のまわりには、子どもがよじ登れるような物を置くことは危険です。ただ交通事故死を減らす対処をした自動車が普及したように、自動的に洗濯機の蓋に鍵がかかる機種も増えてきました。業界も対策に乗り出しています。

また、家庭内の漏水事故は、発生している件数の統計が取りにくい事故でもあります。怪我などの場合は、治療のため医療機関に行くことで医学会の統計が取れますが、漏水事故は無事であれば医師にかかることも少なくなります。そのため医学会でも、家庭内の漏水事故の発生件数はつかめないのです。

とにかく、家の中でも水周りは危険な場所であるということを、しっかり認識しておくことに勝る、対処方法はありません。

🔥子どものための安全

また、家庭内事故で死亡する人の多くは、高齢者ですが、溺死の例を考えると子どもの安全もしっかりと検討しておく必要があります。高齢者の死因の上位は何らかの病気によるものですが、子どもの死亡原因の1番は、不慮の事故です。

しかもこの年齢であれば、家庭内の比率も大きくなります。さらに建設学会に発表された死亡に至らない怪我の調査では、圧倒的に子どもに対しての対処を必要とされています。たとえば浴室への対処を考えても、高齢者への対策と子どもへの安全対策には難しい側面があります。

高齢者の浴槽への出入りを楽にするためには、またぎの寸法を低くしたほうが使いやすくなります。しかし一方、幼い子どもが過って浴槽へ転落する事故を招くことになりかねません。幼い子どもがいる家庭では、水回りの扉には表から鍵をかける必要があるかもしれません。

また、地震時に緊急用の水を確保するために、浴槽には常に水を張っておくことが薦められる。ことがあります。しかし、そのこと。も漏水事故を招きかねません。家庭内事故の現実を知れば、日常的に浴槽に水を張ることは、決して薦められることではありません。

🍃住まいの安全を守る企業

安全であることは、食品を含め、すべての製品において最も優先されるべきことです。その安全性といえば、地震に丈夫で性能が高い家ばかりがアピールされます。

しかし、性能を高めただけでは、安全性に配慮した企業であるとはいえません。性能よりも日常の暮らしと密接に関係している住宅では、家庭内事故のような安全への情報をお伝えすることも大事なことです。

新しい住まいやリフォームを検討する時には、性能や技術の他に、さらに深い「住まいの安全」について問い合わせてみてください。このような安全の情報を用意し配布して、安全な住まいのための工夫はもちろん、安全に対する啓蒙活動を行なっている企業が、ほんとうの安全を考えている企業です。

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