おうちの話

家を建ててくれる人たちおうちのはなし131

家を建ててくれる人たち
地味だけどすごい家づくりの職人

・誰が家を建てているのか?
・家を建てる仕事
・職人がいないと大変

家を新築するのにも、リフォームするのにも、職人がいなければ工事は進みません。どんなにインターネットや情報技術が進んでも、現場で手を動かして工事する人がいなければ、家を建てることも維持することもできません。工事が進むまで、あまり触れ合う機会も少ない地味な人たちですが、職人の技と心意気によって家は支えられているのです。

誰が家を建てているのか?

2016年に新しく建てられた家の数は、日本全体で96万7237戸ありました。このうち、貸家は42万戸、マンションや建売などの分譲住宅が25万戸、そして持ち家などの注文住宅が29万戸です。

「相続税控除額の低減や、日銀のマイナス金利に伴う低金利によって住宅着工が増えた中、マンションだけが伸びませんでした。さらに中古マンションの流通数が初めて新築の販売数を超えました。新築マンションの割高感が、いよいよ住宅購入層にも浸透してきたようです。

100万戸弱の家を建てるのに、およそ3万社の建設会社が活動しています。平均すれば、1社あたり30戸ほどですが、中には年間に千戸を超える大企業も数十社あります。これだけ多くの住宅が建てられていることを、もう少し身近な数にして感じてみましょう。

たとえば、全国に小学校は約2万3千校あります。すべての子どもが小学校に通えるように考えられています。この小学校の数で仮に割ってみましょう。

967,000戸 – 23,000校 ≒ 42戸/校区

ひとつの小学校区内で、1年に42戸の家が建てられているということになります。お子様やお孫さんが通っている小学校区内、あるいは自分自身が通った小学校区内で、これだけの数の家が建っているのです。もちろん、平均ですから多い地域もあれば、少ない地域もあります。貸家や分譲住宅というのは、限られた地域に偏る傾向があります。ですから、持ち家注文住宅でも計算してみましょう。

292,000戸 – 23,000校 ≒ 13戸/校区

ひとつの小学校区内で、13戸の注文住宅が建てられていることになります。そして注文住宅の多くは、大手住宅メーカーよりも地域の建設会社が建てているものです。

たとえば全国の小学校の数と同数の注文住宅を、建てている住宅メーカーはありません。大手メーカーのトップ10社を集めても、ひとつの小学校区ではおよそ3戸ほどしかありません。残りの10戸は、地域に根ざした建設会社が建てています。

大手メーカーの家がたくさん建っていると、誤解を持っている人が多いのではないでしょうか。さらに住宅は、新築の他にリフォーム工事もあります。それを考えると、住宅に関わる仕事の量が大きいことがわかります。ここの住宅業界で、実際に建設の作業を行っているのは、左官の他、大工や、建具や鉄筋、屋根など多くの職人さんたちです。

そのほとんどの職人さんが、建設会社に属しているのではなく、下下請けとして作業を行っています。それは、大手の会社でも変わりません。どちらかといえば、大手の会社ほど下請け職人を利用していると考えることができます。

人が住んでいるところがあれば、小学校に通える環境を作らなければならないことと同じように、その地域に建築の職人がいなければ、その地域の家を守り続けることはできません。もちろん建築するのも同様です。地域の存続を維持するのには、地域の建設会社と建築職人は欠かせない存在なのです。

家を建てる仕事

家づくりを検討したり、リフォームを考えたりする時には、ひとりの担当者と話を進めることになります。でも、1軒の家を建てようと思ったら、とても1人の力で完成するものではありません。そこにはさまざまな専門の職人さんが分業して出入りして完成します。

しかも、工場などで生産する製造業とは違い、整えられた環境の中で作業をするわけではありません。雨風に影響を受け、足場など不安定な建築現場で、作業を進めなければならない職人さんもたくさんいます。もちろん未完成である建設現場では、夏にクーラーもなく、冬に暖房もありません。

生産する現場としては、過酷ともいえます。「この職人さんの作業量は「人工」として数えられます。1日に1人の職人が作業してできる仕事量が、1人工です。では、1棟の新築住宅でどれくらいの作業量があるものでしょうか? もちろん職人の技量にも因りますが、およそ300人工弱ほどとされています。

もし、すべて1人で建てるとすれば、1年ほどかかることになります。こうした工事の職種とは、どれくらいあるのでしょうか?

建築業法では、下に掲載している通り29種とされています。ただ、建設業の中には土木工事に関する職種もありますので、家を建てることに限れば22の職種となります。ただし、たとえば電気工事と電気通信工事は同じ電気屋さんが手がけることもあります。

略号 工事種類  工事の例
土木一式工事 
建築工事一式 
(大) 大工工事大工工事・型枠工事・造作工事
(左) 左官工事左官工事・モルタル工事・モルタル防水工事・吹付工事
 (と)とび・土工・コンクリート工事 とび工事・足場等仮設工事・重量物の運搬配置工事
 (石) 石工事 石積み・石張り工事
 (屋) 屋根工事 屋根ふき工事
 (電) 電気工事 引込線工事・構内電気設備工事・照明設備工事
 (管) 管工事冷暖房設備工事・給排水給湯設備工事・厨房設備工事・ 衛生設備工事・浄化槽工事・ガス管配管工事・ダクト工事
  (タ)タイル・れんが
 ブロック工事
 コンクリートブロック積み工事・れんが積み工事・タイル張り工事・スレート張り工事・サイディング工事
 (鋼) 鋼構造物工事 鉄骨工事・屋外広告工事
 (筋) 鉄筋工事 鉄筋加工組立て工事
 (ほ) 舗装工事 アスファルト舗装工事・コンクリート舗装工事
 (しゅ)しゅんせつ工事 しゅんせつ工事
 (板) 板金工事 板金加工組立て工事
 (ガ) ガラス工事 ガラス加工取付け工事・ガラスフィルム工事
 (塗) 塗装工事 塗装工事・布張り仕上工事
 (防) 防水工事 塗膜防水工事・シート防水工事
 (内) 内装仕上工事 インテリア工事・天井仕上工事・壁張り工事・
内装間仕切り工事・床仕上工事・たたみ工事・家具工事・防音工事
 (機) 機械器具設置工事 プラント設置工事
 (絶) 熱絶縁工事 ウレタン吹付断熱工事
 (通) 電気通信工事 電気通信線路設備工事・電気通信機械設置工事
 (園) 造園工事 植栽工事・景石工事
 (井) さく井工事 温泉掘削工事・井戸築造工事
 (具) 建具工事 サッシ取付工事・シャッター取付工事・木造建具取付工事・ふすま工事
 (水) 水道施設工事 取水施設工事・浄化施設工事
 (消) 消防施設工事 スプリンクラー設置工事
 (清) 清掃施設工場 ごみ処理施設工事・し尿処理施設工事
 (解) 解体工事 工作物解体工事

お家づくりの工程

簡単な家づくりの工程を考えてみれば、多くの職人さんが関係していることがわかります。まずは工事で使う電気や水道が準備できていないと工事ができません。最初に電気工事と管工事が入ります。

地面を掘って足場を組むのにとび・土工が働き、型枠の大工と鉄筋工事職が働いた後、コンクリート打設でも土工が活躍します。 建て方から家本体の工事が始まると、大工が欠かせないことは誰でも知っていることです。

続いて雨仕舞いをするために屋根工事職が屋根材を葺き、建具工事職がサッシを取付けます。昨今では、サッシ屋さんがこの職を引き受けることも増えてきました。その中にはガラス工事もあります。

防水工事の中には、バルコニーがあればシート防水が必要となる場合もあります。その他、屋根以外の防水には板金工事職がいます。 外壁では昔から左官工事が代表ですが、サイディングを張るのはタイル工事職の仕事になります。

左官工事は減ってきているといわれていますが、まだまだ細かい仕事は残されています。 それは逆に職人の仕事としては、中途半端な状況を生み出してしまいます。内装の仕上げも、昔は左官の仕事が多かったのですが、ビニールクロス仕上げが一般的になると壁張り工事としてクロス職が行うようになりました。

ところが自然素材の仕上げが求められるようになると、塗り壁も復活しています。その他に塗装工事もあります。建物内に水道やガス、電気を引き込むのに、また管工事や電気工事、電気通信工事職が建設現場に出入りします。完成に近づいてそれぞれの機器を取付ける時にも現場に入ります。

さすがに道路の舗装工事は、家を建てることとは関係ないと感じるかもしれませんが、水道管の引き直しなどを行う時に、舗装工事も発生します。このようにすべての工事について、扱うことのできる職種が限られ、認可を受けた者が工事を進めています。もちろん、1人の職人がいくつかの職種を兼ねることもあります。

家を建てる現場でないと、なかなか触れ合うことのない職人の世界です。現場での作業は地味で、決して目立つ者ではありませんが、このような職人がいなければ、家を建てるだけではなく維持することもできないのです。

労務費と材料費

こうした建築の職人さんたちが活躍できるようになるまでには、それなりに鍛錬期間が必要です。思い立って急に職人になれるものでもありません。

さらに、技能だけではなく、日々使う道具なども自ら揃え、調整しておかなければなりません。職人には日頃の研鑽と努力が欠かせないのです。一家を建てるための建築資材があっても、それを組み上げる職人の手間がなければ形にはなりません。この手間賃は労務費として計上され、住宅価格の大きな要素となります。家は材料費と労務費、そして諸経費で住宅価格は決まります。

それは、大手住宅メーカーであっても、数百万円で家を建てるというローコストの住宅会社であっても変わりません。一わかりやすいのは材料費で、安い建材を使えばコストが抑えられます。量産品として生産されているものを選んだり、大量に買いつけたりすることで、材料費を抑えます。

大手メーカーもローコストメーカーも、材料費を抑えすることに長けています。ただし、安易に材料費を下げれば、安普請(やすぶしん)の家になることは否めません。

同じように、労務費に対して厳しいコスト削減を行います。そのため、残念ながら腕の立つ職人を必要とする工事は避けられます。たとえば、左官職人に頼むよりも内装工に、大工職人よりも組立工に、瓦職人よりも設置工でできる工事にすることでローコストが実現します。

その意味では、プレハブなどの工業化住宅もローコスト住宅も、職人の技術を使わないで、組み立てるようにして建てている住宅といえるかもしれません。

もちろん、職人の代わりに組立工を育成し、諸経費を削減する努力も必要です。しかし、結果的には職人の手間賃をたたいてコストを下げることになっている企業もあります。それにも関わらず、大手メーカーは価格が高くなるのは、結果的に経費の違いということになります。余分な経費は資産にはなりません。

職人を生かせる仕事に

昨今になって、日本の経済全体で人材不足に悩まされるようになってきました。相応の鍛錬期間と匠の技を必要とする建築業界では、さらに深刻です。

その上、格差社会を象徴するように、職人の仕事が下請けとしてたたかれると、後継者も育たず、人材はほんとうにいなくなってしまいかねません。建設業では、2025年までに40%近くの職人不足に陥ると試算されているケースもあります。

すでに人材不足から労務費が高騰し始めている一部の職種もあります。金利が上がることも大きなリスクですが、住宅の建設費が高騰する可能性も決して低くありません。今以上に、家は簡単に建てられなくなるかもしれません。なによりも大切なことは、こうした職人さんの働きに敬意を示すことです。

その点では、地域に密着した住宅建設企業では、同じ地域の数々の職人さんとの連携を大切にしています。そうでなければ、その地域で建設の仕事を続けることはできないでしょう。そして腕の立つ良い職人を多くかかえていることは、建設企業の自慢にもなることです。

だからこそお客様のご要望に合わせて、現場で細やかに応えることもできます。職人を大切にして、職人を自慢する建設企業が、家づくりでほんとうに頼りになる企業であるはずです。

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