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住宅ローンの上手な活用法おうちのはなし173

現金より借りた方が得する?住宅ローンの上手な活用法

・借金か貯蓄か
・繰上げ返済が決め手
・金利とローン減税

家は一生に一度の買い物といわれるように、大きな費用負担を伴います。それだけの予算を確保するためには、住宅ローンの情報も欠かせません。

意外にも、数あるローンの中でも特に住宅ローンにはとても有利なしくみがあります。現金で払うよりも得する場合もあるのです。住宅ローンの活用法を知っていただければと思います。

💸家賃を払っていますか?

今、払っている家賃はいくらですか?

その家賃をローン返済にしたら・・・

と、いう問いかけをよく見かけます。でも、ちょっと違う計算をしてみましょう。家賃よりも先に、自己資金を貯める貯蓄の話です。たとえば1年間に100万円の貯蓄をするには、毎月いくら積み立てなければならないでしょうか。答えは単純で、月々83,333円です。

100万円 12ヶ月=83,333円

これを30年間続ければ、3,000万円が貯まります。本当はこれに預けている分の利子もつくのですが、残念ながら現在の預金金利ではあまり期待できません。でも、3,000万円貯めるのを待たずに、30年返済の住宅ローンを組んだら、どれくらいの毎月返済になるでしょうか。

当然のことながら金利がかかって利息も払わなければならないので、貯金をするよりも高くなります。低金利の時代、5年固定の変動金利なら最も少ない金利で0.5%からあります。でも、仮に1.0%で計算してみましょう。

月々返済額96,491円

この貯金を積み立てる場合と、ローンを返済する場合の差額は1万3千円ほどです。

96,491円 – 83,333円 = 13,158円

結局、この差額分が積もり積もって、ローンを組む金融機関の収益となります。毎月、30年間払い続ければ、470万円ほどにもなります。家は勝手に動かすこともできない不動産ですから、逃げ出すような事故もレアケースです。

金融機関は良い商売になります。そんなに多くの利息を払ってまでと思うと、しっかり資金を貯めてからと、考える人がいても不思議ではありません。ところが、ここで忘れていけないのが家賃です。

住宅ローンを組んだ場合には、自分の家となっているので家賃は発生しませんが、貸家に暮らすのには家賃を払いながら蓄えなければなりません。たとえば親元に暮らして家賃がなければ良いのですが、実家にいても家賃相当分を負担するのが社会人としての常識でもあります。

差額の1万3千円ほどで住める家に巡り会うのは奇跡です。そして家賃は、30年間払い続けても戻ってくるものではありません。金融機関への利息を払う代わりに、結局、貸家オーナーの収益を負担していることになります。

しかも、多くの貸家の収益は、10~15年で元本を取れるように計画されています。仮に、15年の利回りで経営したと考えれば、次のような計算になります。

13,158円 × 12ヶ月 × 15年=2,368,440円

つまり、230万円程の安普請の家でなければ、この家賃では貸せないということです。同じように、仮に月額83,330円の貸家で計算しても、1,500万円程の家の賃料ということになります。

このように考えると、3,000万円の家に暮らすか、1,500万円の家に30年間暮らして資金を貯めるかという比較も成り立ちます。結局、金融機関の利息よりも、貸家オーナーの収益の方が、負担が大きくなるということです。

💸住宅ローンという貯蓄

そこで、少しだけ住宅ローンの見方を変えてみましょう。単純に、それだけ貸家が儲かるのであれば、貸家を経営すれば良いのです。たとえば、自分で貸家を建てて、自分自身に貸すと考えてみましょう。

店子は最もよく知っている”自分”が相手ですから、オーナーとしては損をしない金額である毎月96,500円で貸します。そのうち毎月83,330円分は、積立預金をします。これによって30年間で無事、資産を手に入れることができます。

残りの1万3千円分が収益です。一方、借り手の立場でも考えてみます。まるで自分のことのように考えてくれるオーナーに巡り合えて3,000万円相当の家を1万3千円ほどの破格の家賃で借りることができ、毎年100万円の貯金ができます。

もし、家賃に加えて駐車場代の負担があれば、それも貯蓄に回せるので、なおさら得になります。このように考えると、住宅ローンを組む”ということは、借金をする”と考えるよりも、おそらく他にはまず見つけられないであろう程の“破格の家を借り”、確実な“貯蓄をする”と考えることができます。

つまり、住宅ローンは積立貯金と同じことなのです。このような考え方ができるのも、住宅ローン以外ではありえません。たとえば自動車のローンでも家電製品のローンでも、あるいは教育資金のローンでも、家賃の出費がなくなるというような益を得ることができないからです。

しかも、住宅ローンほどの借り入れに有利な条件を得られるローンは、他にはありません。返済期間はもちろん、金利面でも優遇されているのは、持ち家の住宅ローンしかありません。さらに加えて、消費増税にも合わせて、住宅ローン減税などの優遇税制も利用できます。

また住宅ローンに付随している生命保険も、好条件です。住宅ローンをきっかけにして、生命保険を見直すのも大切なフィナンシャルプランになるはずです。無理をしない限りは、住宅ローンを活用するということは、人生設計の中に組み込んでみたほうが良いことなのです。

💸元利均等と元金均等

さらに、住宅ローンの活用法には、コツがあります。それには、ローンの金利のしくみを知る必要があります。これまでにも書いてきた96,500円の毎月返済額は、元利均等方式で計算しています。これは、全返済期間を通じて一定の返済額になるよう計算したものです。

これに対して、元金均等方式という、毎月の元金返済を均等にする方式があります。その元金返済額は、30年間で3,000万円を貯蓄することと一緒で、83,330円です。そして、借入残高が大きい当初は利息も大きく、残高が減るに連れて、徐々に利息も少なくなり完済時には0になります。

同じ3,000万円の借入、返済期間、金利の条件で、元金均等方式の返済金額を計算すると108,333円となります。つまり、その差額が当初の利息です。

108,333円 – 83,333円 = 25,000円

下の表のように、およそ半分の15年で返済額は元利均等と同等になり、それ以降は逆に返済額が少なくなります。元金均等の場合は当初の返済は多いのですが、元金が早く減るので、利益分も減り総返済額が少なくなります。

ただし元利金等の方が30年間を通じて返済計画を考えやすいので、結果的にはほとんどの人が元利均等方式を選択しています。

💸繰り上げ返済が得!

この元金を減らすところに、とても大事な返済のコツがあります。その一手が繰上げ返済です。たとえば、当初は安い元利均等の返済額を、元金均等でローンを組んだと考えて蓄えておくのです。

108,333円 – 96,491円 = 11,842円

11,842円 × 12ヶ月 × 10年 = 1,421,040円

10年間貯めれば、142万円になります。これを繰り上げ返済すると月々の返済額は89,961円に減り、返済総額の差額も3分の2が解消されます。繰上げ返済分はすべて元金に充当されるので、特に返済額の中でも金利分が大きい前半に繰り上げ返済を実行すると効果的なのです。

繰り上げ返済ができることを前提にすると、じつはローン期間はなるべく長い期間とすることもコツの1つです。現在の住宅ローンでは35年までの返済期間が可能になっています。

繰り上げ返済では、返済金額を減らすことも、返済期間を短くすることもできますが、後から期間を延長したり、金額を追加したりすることはできません。その意味では、繰り上げ返済も貯金と考えた方が良いのです。

💸消費税よりも金利!

繰り上げ返済や借入期間よりも、もっと大切なのは住宅ローン金利です。銀行によっても、また固定や変動の種類によってもさまざまな金利があります。単純に考えれば、金利は低いものほど得なのですが、どれくらい影響があるものでしょうか。

これも簡単に試算してみましょう。たとえば、これまでの計算根拠である1.0%の金利が1.5%になると、返済計画はどれくらい違うものなのでしょうか。毎月の返済額は103,536円)となります。返済総額では、250万円も増えることになります。ローン金額である3,000万円の8.5%に相当します。

250万円 ÷ 3,000万円 = 8.5%

37,272,768円 – 34,736,908円= 2,535,86円

つまり、金利が0.5~6%も上がると、じつは新しい消費税と同等の費用が増えることになるのです。間違えてはいけないのは、2%の消費増税分ではありません。これからの消費税と合わせると、20%分にもなるということです。

ここでは1.0%と1.5%で比較しましたが、住宅金融支援機構の固定金利では、2018年の基準金利の平均値は1.27%です。過去には7%を超える時代もあり、通年の平均でも4.11%になります。直近10年、20年の平均値でも下記の通りです。現実に5年前には0.6%も高かったのです。

いかに今が金利の面で最適の時期であるかが分かると思います。

💸金利とローン減税

こうした金利はさまざまな条件によっても違います。その条件の中に、固定金利と変動金利があります。さらには、その中間の固定期間選択型の変動金利があります。簡単な特徴を下にまとめてあります。

現在は超低金利と言われている時代です。貸し手の銀行としては、今後の金利が上がった時にリスクを負わないように、固定期間が長いほど金利が高くなるように設定しています。この金利タイプの利用割合を調べると、固定金利を選ぶ人は約2割です。

さらに消費税アップと合わせて、住宅ローン減税も拡充されようとしています。住宅ローン減税では、年末のローン残高に対して1%分の課税が緩和されます。単純に1%を切る一ような有利な金利で借りることができれば、いわばマイナス金利の状況になる可能性もあります。

この時には、たとえ現金を持っていても、10年間分のローン減税を活かした後に、繰り上げ返済をした方が良いケースも生まれます。重ねて、金利面や減税策を含めて、利点の多いローンは住宅ローン以外には考えられません。

新築であれ、リフォームであれ、家のことを検討する時には、上手なローンの使い方を研究しておくに越したことはありません。

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