おうちの話

木で家をつくる贅沢おうちのはなし174

世界と日本で愛される木造住宅木で家をつくる贅沢

・木の文化と石の文化
・木目の魔力
・木の家の贅沢

時代が移り変われば住まいのカタチも変わってゆきます。リビングという言葉が生まれる前の家と、ごく普通にリビングに過ごしている今では、家のカタチが変わっても不思議なことではありません。

しかし根強い木造の家に住みたいという願望は、生き続けています。自然派住宅の代表である木の家は、知るほどに贅沢な家なのかもしれません。

🌲木の文化と石の文化

法隆寺は1993年に、日本で初めての世界遺産に指定されました。白鷺城と呼ばれる姫路城とともに、日本を代表する建築物の1つです。さらに法隆寺は、世界最古の現存する木造建築物としても有名です。

1400年も前に、聖徳太子によって建立され、焼失後、607年に再建立されたとされていますが、現在でも私たちは目の当たりにしてこの姿を眺めることができます。この法隆寺は、中国の影響を大きく受けています。

なによりも建立にあたって、中国から技師を招き、木造建築の技術を教わりながら建てたものです。昭和の大改修では、解体時に数々の落書きも見つかり、技師が一緒に働いていたと思わせる内容も多く見つかっています。

渡来した技師も、実際に日本の工人達に混じりながら建立の現場にいたのです。日本の木造建築でも使われる、柱間の呼び方である間や梁、土井や肘木(ときょう)という用語も、中国から伝わったものが今でも使われています。

中国から大きな影響を受けて、間違いなく日本の木造建築が成長した瞬間であったはずです。また、その技師の残した技術のひとつとして柱の真ん中を膨らませたデザインは、ギリシャ文明から伝わったものとも聞かされると、技術力の広さを感じます。まさに、世界遺産という言葉がふさわしく思われます。

でも、こうした状況を知るほど不思議に思いませんか。どうして、古代には師匠であった中国には、木造建築が残されなかったのでしょうか。気候環境を考えれば、湿潤で木材も腐食しやすい日本の気候よりも、乾燥した中国の気候の方が、木造建築が残されても良いはずです。

もちろん日本では、中国の木造技術が伝来する以前から、木材を使った建造物がありました。たとえば縄文時代にも大きな栗の柱を立てて、塔を建造していたことは分かっています。さらに生活雑貨などへの木材の利用を含めて、日本には「木の文化』が根づいていました。

一方、その対象として呼ばれることの多い「石の文化』は、西欧の文化として語られます。現実に建築物でも、城郭都市など石積みが多いようです。それは建物の違いだけでなく、それぞれの文化を形づくった要因としても語られています。

じつはこの点においては、中国は木造で架構を組んで屋根を支え、周壁はレンガや土で固める様式が一般的で、木や石とは違う、『土の文化』と呼ばれるものでした。

その文化の違いが、日本との違いであり、日本に木造建築が残される原動力になったのではないかと思われます。日本はやはり「木の文化」の国なのです。そして現代社会でも、日本人は8割もの人が、いまだに木造住宅への意向を強く持っているのです。

🌲やっぱり木の家

木というのは人が家をつくる上では、これ以上便利な材料はありません。たとえ壁は石やレンガや土で造ったとしても、屋根をかけたり、床を張ったりするのには、長さのある部材が必要です。

それには、木材に勝る材料はありません。ですから、たとえば西欧の石の家でもしっかりと木材が使われています。それどころかイギリスやフランス・ドイツでは、純粋な木造の家々がしっかり残されています。

たとえばドイツのフロイデンベルクは、ハーフティンバーといわれる木組みでできた家々が、時間を忘れさせるような街並みをつくっています。長い歴史をかけて築かれてきた街並みが焼失した時には、住民の意思で古い街並みを再現しています。そしてその再現から、すでに350年が経っています。

また、内装を見れば、なおさら木材が使われていたことが分かります。家と木は、まさに切っても切れない関係でした。こうした木の使い方の究極を求めてきたのが、日本の家であったといっても過言ではないはずです。

🌲木目の魅力

単純に便利な構造材として使うだけではなく、日本人は木材を手や目に触れる仕上げ材として巧みに使ってきました。その中で、銘木として扱われる材は、木目の美しさを特に認めたものです。

木目というは考えようによっては不思議なものです。まったく同じ山に育った木でも、1本として同じ木目はありません。それどころか、同じ1本の木から取った木材であっても必ず木目は違うものです。

それは工業製品ではなく、自然が創り出しているものですから当然です。その上、ヒノキとスギとマツでは、微妙に木目は違います。さらにケヤキやカバなどの広葉樹と、先の針葉樹では、導管の有無も含めて決定的に違います。そして、その木目を見れば樹種が分かります。

それはとりもなおさず、樹種によって木目にも特徴や傾向があって、木目のばらつきの範囲が限られているからこそ区別できるのです。ひとつとして同じものはない個性を、似たような樹種という個性のばらつきの中で発揮しているということです。

その木目にも、さまざまな種類があります。柾目と板目が代表ですが、さらに特殊な景色が見られると装飾性の高い杢目として珍重されます。竹の子を切ったように木目が放物線状にきれいに並んだ杉本や、笹の葉が重なったような笹本、魚の鱗のような本目、さらには同心円状の玉本などもあります。

こうした木目の個性が、人の作為により引き出され、並べられれば、不均一なのに統一感のあるデザインになります。それは逆に、均一でありながら、どこかに変化がある、味わいを含んだデザインになります。

現代では技術が進み、木材を桂剥きにすることで、薄い単板をつくることができるようになりました。もちろん、たとえ薄くても木目はきれいに見えます。

しかし、薄く剥いているために、木目の変化が少なく、並べると均一になりすぎて、やはり工業的な材に見えてきます。いかに木目には微妙な質の差の中があるのかが分かります。

🌲日本の木材

こうした魅力が多い木材ですが、日本は森林に恵まれた国でありながら、じつは木材は輸入に頼っているのが現状です。昭和の初めには90%以上が国産材でまかなわれていたものが、2002年には18.2%まで自給率が落ちます。

その後、国産材の活用策が実施され、自給率は30%近くまで復活してきました。木造住宅は木材活用の最も中心となるものです。国産材の主に住宅の柱に使用され、今では半数以上が国産材になっています。戦後に荒れ果てた山々に、ヒノキやスギなど植林してきたことで日本にはたくさんの木が育っています。

林野庁のデータでは、年間におよそ1億㎥の木材が増えています。日本の国土の中で育っている1本1本の樹木が、毎年増やしている年輪を合計すると、1億㎥になるということです。しかも、これらの森林資源の源泉は、天然林ではなく人工林がほとんどです。

天然林では倒木による更新となるため、木材の量が増えるわけではないのです。全体の高積量も、平成に入ってから天然林よりも人工林の方が多くなりました。そして合計で50億㎥(以上になっています。

🌲木の家の贅沢

国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、世界の産業用丸太の消費量は、16億6千万㎥(2012) あり、世界で流通して輸出入している木材量が、年間で1億1千万㎥です。この世界で輸出入している木材の量とほぼ同量木材が、日本の国土で生まれているということなのです。

それを考えると、いかに日本が木材に恵まれた国であるのかわかります。そして全世界の消費量の3倍の量の木材を抱えています。しかし、木材も年々育つとはいえ、決して無限にあるものではありません。特に天然林は、一度伐採してしまえば再びもとには戻りません。

地球温暖化を防ぐためにも、森林を守ることは世界の環境問題としてて取り組まなければならないことです。そのため、日本では2009年に「グリーン購入法」が見直され、合法木材の使用が推進されています。そしてトレーサビリティとして、木材の出自を明確にして流通するようになりました。

さらに中国が産業用丸太や製材品の輸入を大規模に増やしている現状もあります。そして中国の法律でも、日本の木材の価値が認められて、いよいよ輸出品目の中に加えられました。世界的に木材の流通が変わりつつあることを考えると、もしかしたら日本で木材が不足する時代がまた来ることも考えられます。

今は簡単に木造住宅といえば手に入るものですが、遠い将来には、木で家を建てることは本当に贅沢なことになるのかもしれません。ちょっとだけでも、今のうちに木の大切さを感じられるような家にしておきたいものです。

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