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お客さまを守る4つの権利おうちのはなし176

建てる会社を選ぶ条件お客さまを守る4つの権利

・消費者の4つの権利
・ホームドクター
・セカンドオピニオンを

住宅を建てることは、人生の中でも最も大きな投資です。慎重に慎重を重ねて検討しておきたいのは当然のことです。リフォームも大切な資産である住宅に手を加えることであり、同様です。

しかし一般的な製品を購入するのとは違い、住宅は検討しなければならない範囲があまりにも広すぎます。その中で、お客様が守られる会社とは、どのような活動ができている会社なのでしょうか。

👪情報の不均等

平成が終わり、新しい元号「令和」が始まります。平成の時代は、思った以上に大きな変化があった時代でした。情報時代に突入し、さまざまな比較や検討ができると同時に、なかなか表に出にくい企業情報も流れてきます。

そして個人の権利や、利益を保護する動きも、より強くなってきているように思えます。こうした環境の下で、消費者の権利を守り、責任を明確にすることは大事なことです。たとえば、製造者としての責任もあれば、使用者としての責任もあります。

製造者は自社の責任範囲を明示することで、想定外の使用に対して責任を負わないことを、警告しておきます。細かい字で書かれた膨大な約款の中に記載された内容を、逐次、消費者が理解するのもなかなか難しいことです。

そして、製品を提供する企業と、消費者である個人との間に、大きな情報格差という不均衡があります。今ではインターネットなどの情報技術により、さまざまな情報を得ることができるようになりましたが、根本は変わっていません。

こうした不均衡を解消し、消費者が的確な利益を得られるような制度が必要です。こうした消費者の権利について問題視されているのは、今に始まったことではありません。逆に、驚くほど古くから提唱されているものです。

その始まりは、じつはアメリカの第35代大統領であるJ・F・ケネディが始まりです。半世紀以上も前の昭和時代のアメリカ大統領ですが、名前を聞いたことがある人も多いと思います。

その活動の中で、初めて消費者保護の考え方を提唱した人でもあるということは、あまり知られていません。そのケネディが、1962年に提唱した消費者の権利は、とても単純なものです。消費者には基本的な次の4つの権利があると定めました。

安全であること
知る権利
選ぶ権利
意見を聞いてもらう権利

👪消費者の権利

少しだけ、消費者の権利が定められるまでの歴史を振り返ってみましょう。J・F・ケネディ以後、アメリカのフォード大統領が「消費者教育を受ける権利」という5番目の項目を追加し、さらに1982年に国際消費者機構では、消費者の8つの権利を提唱しています。

日本では、1968年に制定された『消費者保護基本法』を、情報技術の発展や社会情勢などの変化に伴い、2004年6月に「消費者基本法」として改正しました。同法の基本理念では「安全の確保・選択の機会・情報及び教育の機会・意見の反映」として消費者の権利が、初めて日本でも明記されるようになりました。

この項目を見ても、J・F・ケネディ大統領が提唱した4つの権利を踏襲していることが分かります。日本の法律では、さらに「被害の救済」「消費者の自立支援」が記されています。そして2009年9月に内閣府の外局として消費者庁が発足しました。

発足に伴い、各省庁にあった食品や家庭用品、健康増進や商取引などの表示や取引、そして消費者保護に関することのほとんどが同庁に移管されました。当時も今も、食品の偽装問題や医療サービスの満足度などを調査して、消費者庁は忙しく活動しています。

ところが、住宅に関する表示や取引については、国土交通省との共管や執行となっています。情報が複雑な住宅では、消費者目線にも専門性が必要なのかもしれません。

消費者としてのお客さまを守るために設定された「4つの権利」の原点に立って住宅業界を見つめなおしてみましょう。日頃どの様な活動をしている企業が、頼りがいのある企業であるかが見分けられるかもしれません。

👪安全であること

安全であることは、筆頭に上げられていることです。どのような商品でも安全が確保されて初めて、商品としての価値があります。車のリコールや薬など、安全が確保されていないことは、社会的にも大きなニュースとなります。

それでは住宅が安全であることとは、どの様なことでしょうか。耐震性や耐火性など、いざという時の災害から命を守ることが、真っ先にあげられそうです。建築業界でも建材や耐震ダンパーのデータ偽装というニュースもありました。

さらに、アバート建築では火災に強いはずの充填剤が、燃えやすい断熱材で済まされていた事件も発覚し、住まい手への引っ越しを要請する事態にまでなっています。まさに消費者の安全という権利がないがしろにされる事件です。

住宅の場合は、行政によって耐震性や耐火性の確認が事前に求められているので、これに従えば、基本的には同程度の強度になっているはずです。立派なテクノロジーカタログで説明をしている大手企業もありますが、皮肉にも、こうした事件は大手企業で起きる結果となっています。

また、火災や地震というのは複合災害です。耐火建築物が普及しても火災による死亡者数は減少しませんでした。炎だけではなく、不完全燃焼でも多くの人が亡くなっているのです。

耐火性を高めることだけが、安全となるとは限らないのです。その意味では、先の偽装事件や手抜き工事などように、悪意がない限りは安全が失われることはないはずです。

戸建て住宅の約7割を手がけているのは地元の建設企業であり、地元で不評が噂されれば企業を続けることはできません。耐震性や耐火性などの安全性はあたりまえのことと考えて地域での活動を続けています。

👪意見を聞いてもらう権利

次に、順番を変えて、4番目の「意見を聞いてもらう権利」とはどのようなことなのでしょうか。顧客志向への対応として、特に大手メーカーなどではカスタマーセンターなどを設置して、お客様への対応を向上させる取り組みを実施しています。

もちろん、これは大切なことであり、消費者の権利を保全するための対処としても有効なことです。住まいづくりは、生涯のおつきあいともいえる事業です。お客様の意見をお聞きし続けることは住宅企業には欠かせない活動のひとつに間違いありません。

しかし、大手メーカーだからカスタマーセンターが設置できて、サービスが充実しているということではありません。間接的な社員の数も多い大手メーカーでは、お客さまの窓口をつくらなければ十分な対応ができないという側面があることを忘れてはいけません。

地域の建設企業を選ばれたお客様の中には、担当者だけではなく責任者である社長の顔が見えることを、いちばんの安心要素としてあげる人もいらっしゃいます。また、わが家を手がけてくれた職人さんとの接点を、喜ぶ人もいらっしゃいます。

住宅は工場で建つのではなく、現場で人が建てるものです、そのおつきあいを続けるのには、知った顔の人が聞いてくれるのが良いのです。また、地元に根ざした建設企業の多くは、リフォーム工事も同時に進めています。

お客様の状況を見て、新築にした方が良いのかリフォームにした方が良いのか、住まいのプロとしてアドバイスを行います。お医者さんと同じように、かかりつけの住宅医がホームドクターとしていて、時折問診してくれるのが何よりも安心です。

👪選ぶ権利

注文住宅では、お客様のご要望をお聞きして建てているものです。その意味では、選ぶ権利が阻害されることは少ないように思えます。ところが、実は新築住宅の現場では、意外にもこの選ぶ権利が守られていないことが少なくありません。

現場で建てる住宅は1棟1棟違うものであり、本来はどの業界よりも自由に選択できるはずなのですが、残念なことです。もともと住宅はたくさんの部品が組み合わされて建てられています。その数は2万点以上といわれます。その多くは建材メーカーが製造したものです。

ところが一部の住宅メーカーでは、商品によって仕様などが定められ、自社の持つ在庫のオリジナル建材の中から、選択することを求められることがあります。消費者の選ぶ権利は狭くなります。ただ、それなりの理由もあります。

自由に選んだ場合には、あまりにも選択肢が多いので、あらかじめ選び出した推奨部品を設定しているという理由です。そしてカタログ等とのデザインイメージを、損なわないための顧客サービスでもあるとしています。確かにこだわりのあまりない部分では良いのですが、どうしても選びたいものもあります。

このような時に「保証ができない」というひと言で、選ぶ権利を奪われることがあるのです。たとえば内装材の種類を変えることで、「保証ができない」とはどのようなことでしょうか。少なくとも、住宅の性能まで大きく損なわれるものばかりではないはずです。

それがアレルギー性の材料であれば、選ぶ権利はより重要視しなければなりません。選ぶ権利を、お客さまと一緒になって考えてくれる建設企業が頼り甲斐のある企業となります。

👪知る権利

最後の知る権利は、表示に関することが中心です。住宅の場合の表示としては、性能表示制度があります。性能は基準を満たせば、どの建設企業でも同等のものと判断されます。

その他に表示されているものといえば、広告やホームページ、カタログなどがあります。食品や飲食業界でも問題になっているように、自社の製品を他社のものよりもより良く見せようとするのは、営利企業の一般的な活動です。

それぞれの企業の言葉で書かれた情報で比較しても、本質を見失いかねないことがあります。より冷静に判断する気持ちを持ちながら、広告やカタログを読むようにしたいものです。

もちろん、あらかじめ記載されていることだけではなく、わからないことがあれば、いくらでも聞いて良いのです。それが消費者の知る権利です。そして、できれば比べようのない技術的な内容を確認するよりも、建築実例や地域における企業活動などを聞く方が良いのではないでしょうか。

また、ガン治療にあたって、セカンドオピニオンとして別の医師に診断してもらうように、第三者的な広い意見を集めることも大事です。知る権利を保全してくれる企業であれば、手伝ってくれることでしょう。

新築にしても、リフォームにしても、失敗しない住まいづくりを進める上では、消費者の権利を最大限に活用し、同じように理解してくれる建設企業が、頼り甲斐のある企業です。本紙の「おうちのはなし」も、住まいづくりのセカンドオピニオンとしてお届けしています。

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