おうちの話

健康をまもる・つくるおうちのはなし183

健康と家の深いかかわり健康をまもる・つくる

・健康を害すること、維持すること
・アレルギーと対策
・身体を温めること

家族のだんらんや日常的なしあわせ、そして子どもの将来を思う時、なによりも大切なのは家族の健康です。そして、住まいは健康にも大きな関わりを持っています。

一方、シックハウスという問題が無いわけではありません。住まいと健康との関係と、その対策とはどのようなことでしょうか。

💗健康を害すること、維持すること

もっとも長い時間を過ごす住まいが、さまざまな要素で私たちの生活に関わりをもっていることは間違いありません。持ち家に暮らしても貸家に暮らしても、もちろん戸建て住宅でもマンションでも同様です。

身体的にも精神的にも、住まいと関わりながら、私たちは将来を築いています。そんな大切な住まいの中で起きている事故での死亡者数が、交通事故による死亡者数の倍以上もあることを知るとショックを受けます。日常的な災害は、じつはすぐそばにあります。

安全な家とは、住宅の耐震性や耐火性よりも家庭内事故にまじめに取り組むことの方が、より身近な問題のようです。その事故や安全性より、もっと身近にあるのは住まいと健康との関わりです。

家庭内事故などの死亡事故は、明確な数値で知ることができますが、健康を害して悩んでいる人の数は障害の度合いも含めて明確ではありません。ましてや長い住宅ローンを抱えてゆく上でも、健康は欠かせません。

そして健康に関心を寄せている人が多いことも、疑うことはできないでしょう。長い時間を過ごす住まいは人との関わりも深いので、大きく2つの要因となる可能性があります。

ひとつは健康を害する要因、もうひとつは健康を維持する要因の可能性となることです。

💗シックハウス症候群

健康を害する要因となる事例には、シックハウス症候群があります。家が原因となる病気として「家原病」といわれることもあります。主にVOC(揮発性有機化合物)などによる、空気の汚染から病気を発生すると考えられています。

私たちが口から摂取するものの重さを比較すると、圧倒的に多いのは住宅内の空気です。ごはんの量にすると1日に40合分もの重さになります。その空気が汚染されているとなれば、健康への影響も大きくなるのは当然のことです。こうしたVOCの代表格はホルムアルデヒドです。

有機化合物のひとつで、家具や建築資材、壁紙の糊や塗料などに含まれています。こうした揮発性の成分は新しい建材で発生することが多く、リフォームによっても発生する可能性はあります。ホルムアルデヒドは、シックハウス症候群の代表として社会問題にもなり、建材などには放散量の基準があります。

星の数が多いF☆☆☆☆がもっとも安全とされ、使用に制限がない建材です。しかし、放散量は0.12mg/L以下でまったくないわけではありません。確かに毒性は高いのですが明確な中毒症状となる濃度ではないとされています。

しかし、たとえ微量であってもアレルギー症状が出ている人にとっては深刻な健康上の問題となります。どのような対策をするのかも含めて、真剣に考えておかなければなりません。

💗VOCとアレルギー

シックハウスとしてアレルギーのことを考えるのは単純なことではありません。先のホルムアルデヒドも、扱っていても症状がでない人もいます。つまり個人によって差があるということです。そして、アレルギーよりも症状の軽い過敏症もあります。

一方、ホルムアルデヒドの放散量の基準が0にならないのも、一部の魚類や椎茸など、天然食材の中にもホルムアルデヒドを含むものが存在しているという事実があるからです。またホルムアルデヒド以外のVOCもたくさんあります。

たとえば木材の匂いも、いわばフェノール系の揮発性有機物です。WHOのVOC規制基準に組み込まれ、木材が有害建材になりかけたこともあります。ヒノキやスギの匂いを楽しむどころではありません。

また、アレルギー症状を起こすのは、VOCなどの人工的な素材だけに限られているわけではありません。毎年スギ花粉やブタクサ花粉に悩まされる人はたくさんいます。どの成分によって健康を害することがあるのかは、まったく個人によって違います。

他の多くの人が使っているからといって、安全とはいいきれません。それでは新築やリフォーム時には、どのような対策をすれば良いのでしょうか。難しい問題です。基準がある建材については、基準値をクリアしていることは最初の対策です。

もちろん多くの人が使っている建材を確認することも大事です。それでも気になる場合には、検討している建材のサンプルを取り寄せて少し時間をかけて触れ合うことです。

つまり、自分の身体に聞いてみるのです。地域に根ざして活動している新築やリフォームの会社では、そのようなサンプルも用意してくれます。

💗寒い冬に多い事故

もうひとつの健康を維持する住まいとはどのようなものでしょうか。明確な答えがあれば楽ですが、健康法も数え切れないほどあり、答えを見」つけるのは簡単ではありません。

しかも健康を維持する住まいとなればなおさらです。でも、ここではとても単」純な答えとして身、体を温めることを考えます。そのことをいちばん実感できるのは、ほとんどの病気の死亡率が、冬に高いことです。

また、1日のうちで体温や外気温が低い午前3時~5時にも、死亡率は高くなります。家庭内事故の傾向からも寒さの危険が読み取れます。事故の中でも93%が重篤となるほど、危険度が高いのは溺水です。

漏水がニュースになるのは夏場が多いのですが、消防庁の救急搬送人数のデータでは圧倒的に多いのは冬場です。冬ほど溺れる人が多いというのは、ちょっと信じられないデータのように思えます。

でも、その多くが家の中で起きているということは容易に想像できます。身体が冷える時には、事故であれ健康であれ問題が起きやすいのです。

💗身体を温めること

より身近な話しでは、英語で風邪をひくことを「catch a cold」といいます。そして風邪の対策に、生姜やネギが良いと言われるのも、これらの食材が身体を温める効果があるからです。

身体を冷やして風邪をひき、身体を温めて風邪を治すと考えれば、身体を温めることが健康によく結びついているかがわかります。漢方薬でも生姜の類であるウコンなどが使われるのは、身体を温め血流を促し、新陳代謝を良くし、免疫機能を上げ、酵素の働きを高めるからです。

もともと人の身体は、70~100Wの電球と同じくらい日常的に発熱をしています。その中でもっとも熱を発生するのは筋肉です。その筋肉の7割が下半身にあります。ウォーキングやジョギングが身体に良いことも、下半身の筋肉を使うことによって身体を温めることができるからと考えられます。

また内蔵の中でも、常に筋肉を動かしている心臓や熱を持つ脾臓には、ガンはできないと言われています。ガン細胞は低体温の35度になると増殖しやすいので、ガンにかかりやすいのも冷えやすい部位、胃・食道・肺・子宮・乳房ほど高くなっていると考えられています。

他にも、中華料理では食物は常に熱を通してから食べられます。衛生の問題だけではなく、医食同源だからこそ生み出された食事法です。また、寅さんのような日本の昔からのおじさんキャラクターには腹巻があるように、昔の日本人は晒しなどを腹に巻いていました。

中国とは違う日本人の健康文化です。これほど身体を温めることは、健康に良いことなのです。では、身体を温め健康を維持する住まいはどうしたら良いのでしょうか。

💗健康を維持する家

日本人が考え出し、た身体を温める知恵は、先の腹巻の他に風呂もあります。シャワーを浴びるよりも、温かい湯の中にしっかりと浸かり身体を温める習慣があるのは日本以外では聞かれません。

衛生面で汗と汚れを流すだけではなく、身体を温めて血流を良くし、湯船に浸かって1日を反省し、新しいアイデアを生み出し、その後の睡眠を誘ってくれます。湯船に浸かった時のため息で、なぜか気持ちは前向きになります。

風呂は身体にも心にも健康をもたらせてくれる、大事な生活文化です。浴室は、しっかりとリラックスできる空間にしておきたいものです。逆に、身体を冷やさないことを考えると、温かさを逃さない家にすることも大切です。

省エネルギー住宅を求めることは、冷暖房費を節約し、地球環境へ貢献するという大義の他に、健康を維持するためにも必要なことなのです。また、看護士は病人の身体を冷やさないようにするために、毛布をかけます。

じつは患者が体温を奪われるのは、部屋の冷気よりも壁や天井に吸収される熱が多いと教わるからです。窓があれば、閉じていても熱は放射熱としても逃げて行きます。毛布をかけることで、放射熱として奪われるのを抑えるのです。

その意味では、壁や天井の材料にも工夫の余地があります。熱伝導率の高い鉄や、熱容量の大きいコンクリートは放射熱を吸収しやすいので避けなければなりません。周囲に吸収される熱が少なければ、もともと自分が発する熱が蓄えられて、身体は自然と温まります。

金属とコンクリートと木材の箱で、ハツカネズミを飼育した有名な実験があります。20日後の生存率は木材の箱の86%に対して、金属の箱では42%、コンクリートの箱では7%という結果でした。もちろん要因は色々と考えられますが、体温が取られたことも指摘されています。

低体温はさまざまな病気を招くと言われています。便秘・肌荒れ・アトピー・アレルギー・ガン等々。身体が温められる家に暮らせば、アトピーやアレルギー症状が抑えられる可能性もあります。身体を冷さない家は、元気を生み出してくれる家でもあるのです。

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