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検証、住宅への消費税対策おうちのはなし189

消費増税後の住宅取得は不利なのか?検証、住宅への消費税対策

・消費税10%
・増税と対策を比較検証
・活用すべき税制は?

消費税がいよいよ10%となりました。初めて導入された軽減税率を含め、政府は消費税による景気の後退を懸念し、さまざまな対策を行ってきました。それは住宅取得についても同様です。消費増税は、家づくりにどのような影響を及ぼすのでしょうか?

消費税10%と住宅

1989年に消費税3%が施行され、1997年に5%、そして2014年に8%と引き上げられてきた税率が、2019年10月、10%となりました。導入時には5兆円ほどの税収も、20兆円まで増えると算定されています。

その度に駆け込み需要や、増税後の買い控えなどの消費活動や、国の経済にも大きな影響を与えてきました。もちろん消費活動に影響を及ぼすのは、消費税制ばかりではないはずです。

バブルの崩壊やリーマンショックなどの経済的な事案、経済成長や景況感もさまざまなモノの消費に影響し、経済の動向を変えてきました。それは住宅も例外ではありません。

住宅というのは最も高価な買い物であり、税負担も大きくなるので影響を受けやすいと考えられます。そこで、日本の住宅着工数の変遷グラフの中に、大きな経済不況の出来事と、消費税の動向を書き加えてみました。これだけのものでも、ちょっとした傾向をうかがい知ることができます。

たとえば、40年も前のオイルショックを始めとして、バブル崩壊やリーマンショックによって、住宅着工数が大きく落ち込んだことがわかります。経済活動が不活性になっている時に、大きな買い物をするのが不安になるのは当然のことです。

それに対して、グラフを見る限りは消費税の影響は、意外と少ないことがわかります。もちろん、多少の影響があることは否定できません。さらに、ちょっと見方を変えると、違いが見えてきます。同じ住宅着工数の中でも、持家住宅と貸家住宅、そして分譲住宅を見比べると状況が違うのです。

単純に折れ線グラフの形状を比較してみると、貸家住宅と全体の起伏が似ています。それはつまり、貸家住宅の動向が住宅市況として表れているということです。逆に、持家住宅はじつは景気に左右されることは、あまり大きくありません。

単純に、貸家や分譲は事業者が建てる住宅であり、持家は個人が建てるものです。景気によって左右されやすいのは、事業者の建てる住宅であるということです。それが顕著に見えるのは、1991年のバブル崩壊では、貸家や分譲住宅は大きく着工数を下げているのに、持家はむしろ着工数が増えています。

逆に消費税は、基本的には貸家住宅には影響は少ないはずです。貸家の消費税が高くなっても、家賃で消費税を回収すれば良いのです。現実に、前回の2014年の消費増税後に、貸家住宅は減っていません。やはり個人が持家を取得するのには、消費税が大きく影響するのです。ですから駆け込み需要も起きています。

しかし、政府も基本的には景気が低下することは望んでいません。そのために、消費増税と同時に対策を実施しています。その一つが、駆け込み需要の抑制でもありました。消費税が上がった今、政府の対策とはどのようなものなのか検証してみましょう。

消費増税対策

2019年の消費増税は、8%から10%へと、2%分の増税となります。仮に3千万円の建物であったとすれば、60万円相当となります。

3000万円 × 0.02 = 60万円

増税当日の1日の差で、60万円の税金を余分に払わなければいけないと考えると、それは大きな金額です。60万円もあれば、買えるものはたくさんあります。大型ビジョンや最先端の冷蔵庫や洗濯機を選べるほどの金額です。このような増税に合わせて、政府の対策は主に次の4点です。

①住宅ローン減税の延長
②すまい給付金
③次世代住宅ポイント
④住宅取得資金贈与

こうした対策を、消費税が上がった分と比較しながら、検証してみたいと思います。

住宅ローン減税

そもそも住宅ローン減税とは、住宅取得者が利用するローンの金利負担を軽減するために設けられた制度です。年末のローン残高の1%分を所得税額から控除してくれるものです。通常、10年間の控除されている制度ですが、消費増税に合わせて3年間延長されました。

現在の低金利の時代では、1%の金利分を控除してくれれば、単純計算ではまるで無金利の住宅ローンを組んでいるような感覚です。この金利の面だけを考えると、消費税はともかく、今が住宅ローンを組む絶好機であることに間違いはありません。

仮に3000万円のローンで、11年目~13年目の残高を計算してみると、確かに消費増税分相当の金額になります。消費税のかからない土地購入費が住宅ローンに含まれていても、対象になりません。

また、経過措置や個人間中古住宅の売買など、消費税が10%にならない場合には、3年間の延長はできません。

この住宅ローン減税の3年延長は、明確に消費増税を軽減することが目的とされています。つまり、住宅ローン減税で、消費税アップ分は取り返せる、あるいは軽減されているということです。

また、住宅ローンを利用しない消費者に対しても、投資型減税による所得税の控除があります。建築した住宅の床面積によって、控除額が決まっています。

ここでも最大の控除額は、消費税10%対象者に対しては特別に65万円まで引き上げられています。諸条件から逆算すれば、消費増税分が取り戻せるのは、181m²(約55坪)の家を3000万円以内で建てた人に限るということです。

すまい給付金

住宅ローン減税で同様に実施されていたすまい給付金も消費増税後に変わりました。すまい給付金を受け取るには、収入の上限がありますが、新築した家の引き渡しを受けてから1年3か月以内に申請をすると、約2か月で現金が振り込まれます。

これまで30万円であった上限が、50万円にまで拡充され、所得の上限も引き上げられているので、住宅ローン減税などで消費増税分を取り返した家族の中には、消費増税後の方が得する人も考えられます。

こうした住宅ローン減税とすまい給付金に関しては、国土交通省がホームページで詳しく説明をしてくれています。その中には、住宅取得の条件や収入の概要を入力すれば、減税額を計算してくれるシミュレーションのページがありますので活用してみてください。

次世代住宅ポイント

消費税10%での住宅取得者に合わせて、ポイント還元による対策予算も、1300億円組まれています。その内、新築を対象とする予算は1032億円です。最大35万ポイントが付与され、さまざまな商品等と交換ができます。

その標準となる条件は次の4点で、30万ポイントとなります。この条件の内容は、いずれか1つを対象としているので、昨今の家では標準的に適合できるものと思われます。

1ポイントの交換を1円で換算すれば、30万円相当となり、環境や安全対策、健康長寿、高齢者・子育て支援に関する商品を狙って、建築予算から外しておけば消費増税負担の半分にもなります。さらに、上限は35万ポイントで、主に省エネ性で優良な住宅には、5万ポイントが付与されます。

それ以外にも、働き方改革として家事負担を軽減する下記の設備にもポイントが付与されます。こうした減税と住宅ポイントを重ねれば、消費増税後が決して不利とはいえないようです。

住宅取得資金贈与

相続税制の中でも消費増税対策の施策が実施されています。それが住宅資金贈与です。2015年の相続税制改正に伴い、相続税の対象は1.8倍に広がりました。

相続税負担が大きくなるのと同時に、高齢世帯の資産を円滑に若年世帯に移譲するために、住宅取得の機会を利用して施行された優遇制度です。親や祖父母からの住宅資金としての贈与に対して特例となる非課税額が定められています。

この非課税限度額は、通常700万円、省エネ等住宅であれば1200万円まで非課税となります。(2020年3月31日まで)この非課税限度額が、消費税10%の対象となれば、省エネ等住宅の場合3000万円まで適用されます。条件は「家屋の新築等をすること」とあり、新築のための土地取得や増改築も含まれます。

贈与税としての基礎控除額が110万円と低いことを考えると、大きな税制メリットが考えられます。たとえば、住宅取得時でない通常の贈与であれば、3000万円の贈与税額は次の通りです。

3000万円課税対象110万基礎控除額=2890万円×45%税率=1305.5万円-265万円控除額=1034.5万円

現状の住宅取得贈与を利用した場合

3000万円課税対象110万基礎控除額-1200万円=1690万円×45%税率=760.5万円-265万円控除額=495.5万円

住宅取得資金贈与を活用すると、贈与税を500万円も節税することができるということです。

さらに、消費増税10%の特例期間であれば、基礎控除額の上限が3000万円となるので、単純に贈与税は“0”となります。これまでの税制や優遇策とは違い、消費増税による差額の60万円という金額ではありません。

この機会であればさらに500万円が節約できます。住宅資金贈与を考えると、消費増税は逆に絶好の住宅取得の機会といえます。ただし、相続税・贈与税に関しては、単純なものではありません。これによって相続時に損をする可能性もあります。

たとえば、地価の高い住宅に親が住んでいる場合は、相続時に小規模宅地等には、土地の相続税評価額が200㎡まで80%減免される特例があります。この条件では、同居もしくは、相続を受ける子世帯が住宅を取得していないことが条件となります。

住宅取得資金贈与を受けると、必然的に住宅を取得することになり、小規模宅地等の特例が受けられなくなる可能性があります。これらを合わせると、二世帯住宅や祖父母からの住宅取得資金贈与の可能性がある家族には大きなチャンスです。

毎年、子や孫のためと思って振り込み詐欺に合われる高齢者が絶えず、500億円もの被害があります。その状況を鑑みれば、祖父母から親・子の間で、資産の話をしておくことも大事です。消費税と住宅取得は、結婚や出産・就学と同様に、良い機会になってくれるでしょう。

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