おうちの話

おうちのウィルス対策おうちのはなし199

免疫力を高める家おうちのウィルス対策


・ウィルスと感染症
・清潔な家
・自然免疫力

中国武漢から始まった新型肺炎コロナウィルスが世界中に拡がり大きな社会問題になっています。人類がいまだに経験していないウィルスとの闘いには、医薬の世界が躍起になるのはもちろんのこと、生活者として対策できることもあるはずです。この機会に、家でできるウィルス対策とはなんなのか考えてみましょう。

ウィルスと感染症

COVID-19と名づけられた新型肺炎感染症の広まりは、多くの人に、これまでにないウィルス感染への不安をもたらしています。まずは、この敵となっているウィルス(SARS-CoV-2)の姿や大きさは、どのようなものなのでしょうか。

ウィルスの大きさは0.1μmマイクロメーター(1000分の1mm)で、いかにウィルスが小さいものかが分かります。ウィルスは核酸だけを含むカプセルようなもので、単独では増殖をすることもできず、人の細胞に侵入して増殖するものです。

人の細胞内に寄生し、細胞膜をもっていないので、直接作用する治療薬の開発も難しく、免疫機能の活性化を利用する薬が多くなります。人のCOVID-19は軽症が多いという報告のわりに、感染力があって重症者への治療法もわからないので、どうしても不安が大きくなります。

こうした病気を引き起こす微生物には、ウィルスの他に細菌と真菌があります。大きさがウィルスの10倍、1umほどあるのが細菌です。細菌には細胞膜があり、環境が整えば細胞分裂で自己増殖します。細胞内に入り込んで寄生しなければ、増殖できないウィルスとは大きな違いです。

さらに、それよりも少し大きい真菌はカビの一種で、定着すると菌糸を伸ばし枝分かれしながら成長してゆきます。人体に有害な真菌もあり、その一種の白癬は、俗にいう水虫です。真菌に対しては、細胞膜の合成を阻害するか、破壊する抗真菌薬が使われます。

大きさは細菌や真菌の種類によって違いもありますが、大気汚染で話題にもなっている、2.5μm以下の微小粒子状物質(PM2.5) と似たような大きさです。小さくて空気中にも長時間漂うので、遠くまで移動することもあります。

細菌による病には、増殖を抑える他、細胞に直接作用する抗菌薬や抗生物質が有効です。細菌や真菌は、害を与えるものばかりではありません。乳酸菌や納豆菌をはじめとして、人の体の中に共生して消化を助け、体調を整えてくれる腸内細菌もあります。

同様に真菌にも、お酒や味噌醤油をつくる麹菌や納豆菌があります。要は人に有害か有益かで腐食と発酵の違いとなっています。さらに、アレルギーのある花粉や、髪の毛の太さなど大きさを比較すると図のようになります。

この中にさらに、一般的なマスクの隙間を表現するとおよそ5μmです。もちろん花粉に有効であることは一目瞭然ですが、COVID-19で問題にされている飛沫にも有用といえます。しかし、飛沫と同時に発生する飛沫核はマスクの隙間を抜けてしまいます。それは飛沫核を出す側も受け取る側も同様です。

そのためにはPM2.5に対応したマスクが必要です。そうでなくても不足しているマスクに、この条件はより厳しくなるばかりです。とにかく、密閉された空間で長い時間を過ごすことがある場合には、換気をしっかり行うことが第1です。

風通しの良い家

人がつけるマスクと同じように、住宅の換気システムにも、PM2.5用のフィルターがあります。とはいっても、感染するほどのウィルスが外から家の中に入り込むとは思えません。

それよりも換気こそ、まさに家の問題です。近年の日本の省エネ住宅では、高い気密性が求められています。それは空気を逃さないためではなく、じつは上手に空気を入れ換えるために必要なことなのです。

換気量については、少なくとも2時間に1度の空気の入れ替えがあるように求められています。この時、しっかりと換気の経路を確保するためには、気密性がないと計画できないのです。

そして、排気の熱を回収して、エネルギーの浪費を避けています。その上で、日本の家は中国やヨーロッパの家よりも窓が大きく、換気に向いている家といえます。

本当に気密が必要な季節も、それほど過酷ではなく、長くもありません。さらに、集合住宅が多い外国に比べて、日本の戸建住宅では四方に窓がとれるので、風通しの良い家にできます。換気という家の条件で考えれば、日本の家は少しだけウィルスに対して有利かもしれません。

清潔な家

マスクの効用は、吸引を防ぐことよりも拡散させないことが基本です。その意味では、罹患者がエチケットとして着用するべきものです。もちろん、防ぐためにも有用な面はありますが、マスクの表面を安易に触って、その手で顔などに触れるのは、菌を集めて身体に入れているようなものです。

ウィルス対策には、マスク以上にこまめな手洗いの方が大事です。この点でも、比較的日本の住まい文化はウィルス対策に適していると考えられます。なによりも靴を脱いで家に上がり、外と内をしっかり区別して暮らしています。

さらに多くの日本人を悩ませる花粉症も、その対策はウィルス対策に通じています。近年の家では玄関にしっかりとクローゼットを設け、外衣を家の中に持ち込まない工夫をしています。

できることであれば、入口にアルコール消毒が置いてあるのと同じように、玄関に手洗いを設けると、家の奥にあるよりも不用意な菌の持ち込みを防ぐことができるようになります。戸建て住宅であれば、増築して対応することも可能です。こうした清潔さを保つ家も、日本の住まい文化の一環です。

自然免疫力

こうした中、COVID-19は、ついにWHOがパン デミックであることを発表しました。世界でも防ぎきれない国が続出し、罹患する確率は決して低くはありません。そして、有効な薬や治療法が確立していないのも心配です。

一方、罹患者の80%が軽症という報告もあります。新型ということで、これまでのウィルスのようなワクチンという獲得免疫システムもなく、現状では自然免疫力を高めることしかありません。

抗酸化作用によって、体内の活性酸素を無害化するといわれるポリフェノールや食物繊維、さらにはビタミンB、ビタミンCなど、食事による自己免疫力の向上方法はたくさんあります。普段の生活が大切なことはもちろんです。これに加えて、家で過ごす生活の中で、免疫力を高めることもあるはずです。

たとえば睡眠であり、もう一つは入浴があります。たとえば、動物は争いがあって傷を負った時には、安全な場所にこもってコンコンと眠ります。食事を摂るよりも、眠ることの方が治癒には有効なのです。良い睡眠がとれる家は、免疫力を高める家でもあるはずです。

じつは、この睡眠のシステムは、寝る場所である寝室だけにあるわけではありません。体内時計にある睡眠のリズムをリセットするためには、朝にしっかりと光を浴びることが大事です。できれば朝日の当たる東向きの窓を決めて、朝のひと時を過ごせるようにすることが睡眠に良いのです。

リラックスの時

また、もうひとつの免疫力を高める習慣としての入浴も睡眠への効果が期待できます。人は深部体温が低下することで、眠りに入ります。入浴によって体温を高めておくと、より良い睡眠へ導いてくれるのです。

さらに入浴して体温を約38度まで高めることも、免疫力を向上させます。少し熱めの湯に浸かることで、ヒートショックプロテインが発現して、身体を守ってくれるのです。十分な熱刺激を受けるためには、シャワーという習慣では足りません。

さらに入浴剤を使うとさら湯” よりも短い時間でヒートショックプロテインの発現が起きることもわかっています。このような入浴習慣も、日本の住まい文化に特有のものです。そして湯に浸かると不思議と、リラックスします。

これによって自律神経のバランスが整えられます。ウィルスと戦うと思えば、交感神経が働き緊張状態となりますが、湯に浸かることで副交感神経が働きリラックスします。お風呂に入って、自然と長い溜息をつくことも、副交感神経の働きを助長してくれます。

大切なことは、こうした機能を知らないままに暮らしているのではなく、免疫力を向上させているという意識をもって入浴や睡眠をとることです。

健康の味方

自己の自然免疫力だけではなく、自然の中には期待できる味方もいます。腸内細菌も善玉の細菌が多ければ、体調を保つことができます。

そもそも細菌に対する抗生物質も、真菌であるカビが有している対抗措置を人が利用したものと考えれば、ウィルスや細菌と戦っているのは人間だけではありません。たとえば植物や樹木が発するフィトンチッドには殺菌力があります。

森林浴などで癒しの効果として紹介されることが多いのですが、植物の殺菌作用から名づけられたものです。植物にとっても、有害な菌を排除しなければ自分の身を守ることができません。

たとえば観葉などで良く使われる、ゴムの木などのフィカス系の植物は、有害なホルムアルデヒドを除去し空気を清浄化する効果があるとされています。観葉植物を健康の味方として手入れをすることも、住まい文化の一環です。

困ったときの小間

最後に、家に欲しい間取りの対策のひとつが、パニックルームです。なかなか予算も限られ、部屋の数に余裕を持たせることは難しいかもしれません。

少しでも家族が集まるリビングダイニングを広くしたいのも当然です。でも、小間を設けることができれば理想的です。たとえ広さは3畳ほどでも良いので、最初から目的を決めた部屋としてではなく用意しておきます。

犯罪や災害に遭遇した時に、逃げ込む部屋として使うとパニックルームになります。単純な小間があれば、多くはモノが収納されて納戸になってしまうかも知れません。

たとえ3畳でも畳が敷いてあると、部屋としての認識が生まれます。狭い空間に友だちと集まれば、会話が弾むことも間違いありません。このような小間があると、感染症が家族にできた時の看病部屋にもなってくれます。

もちろん、なによりも手洗いやうがいをして病を入れない手立てが先ですが、どのような事態にも対応できる家であることも大事です。COVID-19という事態にも、考えさせられる家の対策はいろいろとあります。

▲ ページトップ